裁量労働制のタテマエとホンネ/花づな列島復興のためのメモ(196)
現代社会は、いまさら改めて言うまでもないが高度情報化社会である。
それはポスト工業社会であり、モノの生産・流通・消費よりも、情報の生産・流通・消費のしめる意味が大きい社会である。
工業社会の成功によって、われわれの生活が新しい局面を迎えたわけである。
モノの生産と情報の生産の最大の違いは何か?
おそらく、成果物の評価が一義的には決まらないということではなかろうか?
たとえば、モノの代表としてクルマを考えてみよう。
クルマには仕様がきっちり決まっていて、その仕様に適合するクルマを一定の時間単位に、どれだけ生産したか、で生産性を表すことができる。
生産性向上のため、フォードは流れ作業を考案し、トヨタはカンバン方式を考案した。
しかし、情報の生産の場合は事情が異なる。
たとえば、分かりやすい例として、俳句を考えてみよう。
俳句の評価基準を明示的に表すことなど不可能だろう。
⇒2007年8月24日 (金):俳句評価の難しさ
⇒2007年8月25日 (土):第二芸術論再読
⇒2007年10月21日 (日):選句の基準…①月並と類句・類想
⇒2007年10月25日 (木):選句の基準…⑤「予想外」あるいは「勘と好み」
俳句は、桑原 武夫『第二芸術 (講談社学術文庫 18)』(7606)などで特に有名であるが、おそらく情報の生産(知的生産)といわれているものに共通することであろう。
情報の生産に係わる仕事の成果物は定型的でなく、したがってその仕事の評価も難しい。
工場労働の多くは時間の関数である。
したがって、定時が決まっており、提示を越えた分は超過労働として、残業代が支払われる。
しかし、情報生産のような場合は、時間による管理が難しい。
いわゆる管理職に残業代が支払われないのは、時間の管理を自分で行うからであろうが、管理職の仕事がいわゆるコンセプチュアル・スキルを必要とするものであるからともいえる。
情報化時代とは、テクニカル・スキルもコンセプチュアル・スキル化する時代である。
それは、一般の労働者も管理職のようになるということである。
管理職については、従来から裁量労働制であった。
しかし、時代の変化により、一般社員も裁量労働制の方が適切と考えられるケースが増えてきた。
研究開発、取材・編集、ソフト開発などの専門業務型、については1988年に、企画・調査などの企画業務型は2000年に裁量労働制が認められた。
裁量労働制とは、一定時間働いたとみなし、仕事の手順や時間配分を従業員に任せるものである。
年々増加してきており、2011年には全国で9000件を超えている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013022802000101.html
裁量労働制は、本来、労働時間だけでは成果を評価しにくい働き方に対応するために設けられたものである。
しかし、それはいくら働いても労使で合意した労働時間分の賃金だけを払えばいいことにもなる。
経営者としては、残業代削減という側面で考えがちになる。
現実には、上司の指示のもとに行われている労働も多く、労働実態と制度の趣旨の間には、かなり乖離があるようである。
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