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2013年3月31日 (日)

総選挙無効判決をどう考えるか/花づな列島復興のためのメモ(204)

1票の格差をめぐって、広島高裁が25日、小選挙区の区割りを「違憲」と判断し、広島1、2区の選挙を無効とした判決を下した。
⇒2013年3月26日 (火):衆院選無効の高裁判決/花づな列島復興のためのメモ(202)
この判決について、産経新聞が毎日新聞の社説に異を唱えている。

毎日新聞は26日付の社説で、「警告を超えた重い判断」の見出しで、大要、次のように論じた。

 選挙無効の判断は、過去の国政選挙の1票の格差をめぐる裁判で高裁・最高裁を通じて初めてだ。
 憲法が要請する投票価値の平等に基づいて実施されなかった選挙で選ばれた衆院議員に正当性はない。判決はそう言っているのに等しい。
 裁判所はこれまで「違憲」の判断をした場合でも、混乱を回避するため「事情判決の法理」を適用し、選挙を有効としてきた。
 広島高裁が過去の例にならわなかったのはなぜか。最高裁は11年3月の大法廷判決で「選挙区間の人口の最大格差は2倍未満が基本」とした法律の区割り基準について合理的との見解を示し、1票の格差が最大2・30倍だった09年選挙は「違憲状態」との結論を導いた。だが、昨年12月の選挙時点で格差は2・43倍に拡大。格差2倍以上の選挙区も09年選挙の45選挙区から昨年は72選挙区に激増していた。
 高裁判決は、こうした状態を招いた国会の対応はもはや許されないと判断したのだ。最高裁判決から1年半が経過した昨年9月が是正のタイムリミットだったと結論づけ、「民主的政治過程のゆがみの程度は重大で、最高裁の違憲立法審査権も軽視されている」と強く警告した。国会は率直に批判を受け止めるべきだ。
 最高裁で無効判決が確定すれば、訴訟対象の衆院議員は失職する。失職議員が関与して成立した法律は有効なのか。そんな疑問も湧く。 「違憲状態」だった小選挙区の1票の格差是正がないまま実施された昨年12月の衆院選広島1、2区について、広島高裁が「違憲・選挙無効」の判決を言い渡したのだ。
 さらに根本的な問いかけもある。他の議員も「違憲状態」で選出された点は同じだ。ならば再投票は失職議員の欠員補充だけで足りるのか。解散して全議員を選び直すのが筋だとの意見も出てこよう。
 広島高裁判決は、混乱を避けるため、無効の効果は今年11月26日を経過して発生するとした。最高裁が85年に「違憲」判断をした際、当時の寺田治郎裁判長らが補足意見で示した見解を援用したもので、定数是正に一定の猶予期間を与えたものだ。

http://mainichi.jp/opinion/news/20130326k0000m070082000c.html

これに対し、産経新聞の高橋昌之氏が次のように批判している。

 「安倍政権」という文言は使っていませんが、事実上は「安倍政権が今後成立させる法律は有効なのか」、つまり「安倍政権に正当性はあるのか」と言っているのに等しいわけです。
 ひとつの高裁の判決をもって、最高裁で判決が確定してもいない段階で、政権の正当性にまで踏み込んで言及するのは、新聞の社説として議論が飛躍しすぎており、適切と言えるでしょうか。毎日新聞は安倍政権がお嫌いなのかもしれませんが、今回の衆院選無効判決を利用して、安倍政権にダメージを与えようという政治的思惑を感じざるをえません。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130331/elc13033114090000-n1.htm

つまり、高橋氏は、毎日新聞社説の「解散して全議員を選び直すのが筋だとの意見も出てこよう」の部分を全体の結論として、これは「安倍政権にダメージを与えようという政治的思惑」だと論難しているのだ。
客観的に見て、これは誤読というべきであろう。
毎日新聞社説の「筋だとの意見出てこよう」の「も」が付いているのを無視している。

高橋氏は、「事情判決の法理」をその論拠としている。

国政選挙の無効を求める訴訟では、違憲でも公益に重大な障害が生じる事情がある場合に無効を回避できる「事情判決の法理」を適用するのが通例だからです。

そもそも「事情判決の法理」というのは、公益を著しく害するという場合の緊急避難的措置と考えるべきである。
すでに「違憲」ということが指摘されて久しい。
「事情判決の法理」の限界を越えたというのが今回の判決の意義だろう。
⇒2013年3月 7日 (木):国会は違憲状態をいつまで続けるのか?/花づな列島復興のためのメモ(197)

産経新聞がいくら安倍政権支持だとはいえ、これでは衣の下から鎧が見える。
もっとも、安倍首相は、夏の参院選に合わせて、衆参同時選挙をする気かもしれないが。

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