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2013年3月23日 (土)

原子力規制委への期待と危惧/原発事故の真相(61)

福島第一原発の深刻な事故を受けて、原発の安全性が根底から問われている。
安全性を確保するための組織として、原子力規制委は大きなミッションを持っているはずである。
期待に応えるべく、新たな安全基準を作成し、適用することになっている。

現在稼働している商用原発は、大飯原発だけである。

原発稼働状況一覧
 北海道電力(1原発3基中稼働なし)
 東北電力(2原発 4基中稼働なし)
 東京電力(3原発13基中稼働なし他4基廃炉)
 中部電力(1原発 3基中稼働なし他2基廃炉)
 北陸電力(1原発 2基中稼働なし)
 関西電力(3原発11基中稼働1原発2基)
  
 中国電力(1原発 2基中稼働なし)
 四国電力(1原発 3基中稼働なし)
 九州電力(2原発 6基中稼働なし)
 日本原電(2原発 3基中稼働なし他1基廃炉)
http://genpatumap.seesaa.net/article/198173618.html

大飯原発について、野田前首相は、再稼働を「私の責任で判断する」と言って、再起動に踏み切った。
⇒2012年5月31日 (木):野田首相に理はあるか/花づな列島復興のためのメモ(75)

福島第一原発事故後に新設された原子力規制委員会は、事故前の規制組織「原子力安全・保安院」と原発を推進する「資源エネルギー庁」が同じ経えか産省にあって、ムラを形成していたことの反省を踏まえ、国家行政組織法第三条に基づく独立性の高い委員会とされた。
しかるに、大飯原発の再稼働を判断した野田前首相は、首相権限で国会同意という手続き抜きで、原子力規制委員会の人事を行った。
本来は国会の同意が必要にもかかわらず、自らの問責決議が可決されて国会が事実上閉会に等しかった状況を背景に、原子力緊急事態宣言が発動中であることを根拠に、である。

政権交代後の今年2月、正式に国会同意が得られた人事であるが、人選には当初から疑問なしとは言えなかった。
委員長の田中俊一氏は原子力委員会委員長代理や日本原子力研究開発機構副理事長などを務めた経歴である。
委員は、日本アイソトープ協会主査の中村佳代子氏、日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門副部門長の更田豊志氏らであるが、いずれも核燃料サイクルの推進機関や放射性廃棄物の集荷、貯蔵、処理をする団体の関係者ということになる。
つまり、基本的には、原発推進を目指す「原子力ムラ」の住人であった人たちである。
⇒2012年9月 6日 (木):火事場泥棒的に原子力規制委の人事を行おうとする野田政権/原発事故の真相(46)

原子力規制委は、発足当初は、電力需給は考慮せず、安全性を科学的に判断すると言ってきた。
現在策定中の原発の新安全基準は、7月に施行される予定である。
本来ならば、国内で唯一稼働中の関西電力大飯原発は、この新安全基準が施行されるまでは運転を見合わせるべきであろう。
百歩譲っても、新安全基準が施行されたならば、真っ先に運転中の原発が適合しているかどうかを問うがスジであろう。

しかるに、原子力規制委員会は3月19日、審査のために停止を求めないとする方針を決めた。
定期検査に入るために9月に停止した後に新安全基準に適合しているかを審査するという。
その理由は、今夏の電力需給逼迫を懸念して、ということらしい。

規制委が1月末に示した骨子案によると、新基準では電力会社の過酷事故対策を義務化し、地震や津波対策も強化を求める。
 既存の原発も新基準に適合させる「バックフィット」が再稼働の条件。規制委がこの日の定例委員会で示した方針では、「(新基準)施行と同時に混乱なく運用できるものでなければならない」とし、7月の新基準導入時点で稼働中の原発は定期検査終了後に審査するとした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130319-00000022-asahi-pol

需給が逼迫しているから基準に適合しているかどうかの審査を先延ばしするというのでは、本末転倒と言わざるを得ないであろう。
なし崩しの構造は健在のようである。
⇒2012年6月 5日 (火):「なし崩し」に壊れていく「国のかたち」/花づな列島復興のためのメモ(77)

思えば、「原発が稼働していない夏」という大きな意義を持つ社会実験の機会を逃した野田氏は、後世に「大きな決断をした」と評価される機会を逸したと考えるべきではないか。

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