アイデンティティ、コミュニケーション、ブランディング/知的生産の方法(45)
アイデンティティ、コミュニケーション、ブランディング・・・。
これらの言葉は、すでに日本語として定着していると言ってもいいだろう。
いずれも英語の言葉の発音を、カタカナで置き換えたものであるが、そういう芸当は日本語の利点であろう。
⇒日本語の表記の豊かさと仮名の創造/知的生産の方法(26)
これらの言葉を、日本語で説明したり、言い換えたりするのは難しい。
たとえば、アイデンティティについて、次のような説明がある。
自我同一性、自己同一性。あるいはそれがよって立つところのもの。
「私」を「私」たらしめ、一貫性、同一性を与えているものは何か、ということへの意識、自己確信。
他者や社会によって承認され、認識される自己の同一性(すなわち身元)。
企業のCI(コーポレートアイデンティティ)などによって、アイデンティティという難しい概念も一般化した。
わが国のCIは、1975年にマツダ (東洋工業:自動車メーカー)が、PAOS(中西元男社長)に委託して行ったものが最初だと言われる。
1980年代になると、「CI ブーム」が起き、電博を中心とする広告会社の重要な営業領域となった。
最近は新しい戦略概念「ブランディング」がその役割を引き継ぐ形となっていると言われる。
つまり、アイデンティティとブランディングは不可分ということになる。
CI ブームの頃は、マークやロゴを変えることが中心だったきらいがある。
マークやロゴは、VI(ヴィジュアルアイデンティティ)の手段であるが、情報受信における視覚の重要性を考えれば、当然のことでもあった。
VI,、CI、ブランディングの関係は下図のように説明されている。
http://www.panf-senka.com/objective/logo_pr_web/03.html
これらは、ステークホルダー(潜在顧客を含めた利害関係者)とのコミュニケーションの質を向上させることに主眼がある。
今日の東京新聞に、「パ紋」の話題が載っている。
「パ紋」とは、パーソナル(個人)紋章のことである。
家紋の個人版といえよう。
今や家紋は絶滅危惧種といえよう。
核家族化が進み、「家」という意識が薄くなった。
紋付きの着物を着る機会も一般人にはほとんどない。
その代わり、個人のアイデンティティ意識が高くなっている。
自分は自分であり、その初代だ、ということである。
家紋は代表的な記号であったが、家紋に代わるパ(-ソナル)紋があれば、ということである。
そして、自分のアイデンティティを表現するようなパ紋を作ろうということになる。
東京新聞2013年3月19日
パ紋の使い方はたとえば手提げバッグにあしらうと次のようである。
「コミュニケーションの道具にしてもらうのが一番の願い」と、発案者のグラフィックデザイナー原田専門家氏は言っている。
上質の遊びといえよう。
なお、原田氏のサイトは以下の通り。
http://hara1000.com/rogo/
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コメント
薮内雅明くんもパ紋好きよ♪♪
投稿: 手ん手ん薮内雅明 | 2015年7月22日 (水) 11時49分