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2013年2月20日 (水)

中国論をこえた浩瀚な学識・中嶋嶺雄さん/追悼(28)

現代中国論の中嶋嶺雄さんが亡くなった。

現代中国研究が専門の国際社会学者で、国際教養大理事長兼学長の中嶋嶺雄(なかじま・みねお)さんが14日午後10時26分、肺炎のため秋田市の病院で死去した。76歳だった。葬儀は18日に近親者のみで営まれた。3月17日午後1時から秋田市雄和椿川の国際教養大多目的ホールで大学葬が行われる。
http://www.asahi.com/obituaries/update/0219/TKY201302190191.html

私は、35年ほど前、長期的な企業経営のあり方について検討するプロジェクトに関わったことがある。
その時、専門委員の1人として、中嶋さんもプロジェクトに参画していた。
中嶋さんは、主として国際環境が、今後どう推移していくかということを期待されていたと思う。

私は末席に座って、諸先生のご意見を拝聴するばかりであったが、中嶋さんの発言には、専門分野の枠を越えた見識が窺えた。
中嶋さんはたくさんの著作を出されているが、私はその上澄みを舐めた程度の読書体験しかない。
Wikipedia から覚えのある著書を抽出してみる。

『中国――歴史・社会・国際関係』(中央公論社[中公新書], 1982年)
『中国の悲劇』(講談社, 1989年)
『三つの中国――連繋と相反』(日本経済新聞社, 1993年)

こうしてみると、古い著作ばかりである。
最近の中嶋さんの活動については、マスメディアを通じてしか知らない。
しかし、秋田県に設立した国際教養大学の功績は広く知られている。
同大学の初代理事長兼学長として、同大学の高い評価に貢献してきた。
大学のサイトに乗っている学長の語る理念は以下のようである。

2004年4月、これまでの日本には存在しないグローバル・スタンダードの大学を創り、世界に挑戦するという決意を胸に、国際教養大学は開学しました。以来、我々が掲げる教学理念、すなわち、大学にとって不可欠な教養教育と外国語のコミュニケーション能力を培う「国際教養」は、多くの人々の共感を得てきました。
本学では、秋田杉の森に囲まれた美しい環境の中で、学生諸君に「これまでの人生で、これほど勉強したことはない」というほどに、勉学と向き合ってもらいます。「すべてを英語で学び、英語で考える授業」「外国人留学生と共に暮らす1年間の寮生活」「世界トップレベルの提携大学への1年間の留学」など、学生たちはチャレンジを積み重ねます。

中教審の外国語専門部会で、国際化に対応するための提言をまとめたが、その提言を実践したといえよう。
まさに有言実行である。
Wikipediaには、同大学の特徴が以下のように紹介されている。

学生の多様性
在学生は全国各地から集まっている。在学生の出身高校所在地別学生数でみると、秋田県が約16%、北海道・東北地方・関東地方の合計で約57%、中部・北陸・およびその以西の合計で約39%、外国等が約4%である。
一方、主に提携大学から来る留学生は世界各地から来ており、日本語や日本文化専攻の学生とそうでない学生がいる(日本語の全く話せない留学生も数多くいる)。2010年秋学期では、25カ国・地域から163人であった。人数が多いうえ、全員が日本人学生と同じ学内の寮やアパートに住んでおり、日本人学生と留学生との距離が近い学風を有する。
留学の必須
国際教養大学の卒業要件には最低1年間の海外留学が含まれている。つまり留学なしにこの大学は卒業できない。特定の単位数と必修科目を修め、TOEFL550点及びGPA2.5以上の条件を満たせば自分の好きな時期に留学でき、多くは2年次の秋から3年次の秋まで留学する。留学先の大学では、自分の専攻分野のカリキュラムに合致する授業を1年間で30単位程度履修する(これは国際教養大学での履修単位数と変わらない)。原則として提携大学への交換留学という形をとるが、例外的に提携先以外の大学への留学も認められる。但し、その際は国際教養大学を休学し、私費で留学しなければならない。2011年現在、海外提携大学は35の国と地域の118校に及ぶ。
教員の5割が外国籍
外国人教員比率は日本の大学の中では第2位の高さである。2011年時点では、専任教員の約55%が外国籍である。

以上の紹介からも、日本の大学としては桁外れのユニークさを持っていることができる。
この学校から、学校秀才を越えた逸材が輩出してくるであろうことが予測できる。
日中間の関係が微妙になっている時期に、もっとも聞きたいオピニオンを発する人を失った。
合掌。

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