詐欺事件の横行と高齢社会/花づな列島復興のためのメモ(190)
アフガニスタン通貨への投資詐欺容疑で、利殖詐欺グループが静岡県の警察に逮捕された。
大仁、三島、沼津の3署と県警生活経済課は5日、詐欺の疑いで東京都品川区東五反田、会社役員の男(30)、同区中延、会社役員の男(26)、栃木県那須塩原市、無職の男(25)の3容疑者を逮捕した。
逮捕容疑は共謀して2012年6月、営業実体のない外貨取り扱い会社「ケーケーコーポレーション」のパンフレットを滋賀県内の無職女性(69)に送った後、「封筒が届いた人にはアフガニスタン通貨を買う権利がある」「投資額1千万円で年利12%、3千万円で年利16%」などと虚偽の内容で電話勧誘し、1千万円をだまし取った疑い。3人は容疑を否認しているという。
大仁署などによると、30才の会社役員の男は仲間が集めた現金の回収、26才の会社役員の男はパンフレット類の配布などに携わり、無職の男は被害者から現金を直接受け取る役割だったという。会社役員の男2人は都内に登記したペーパーカンパニーの役員にも名を連ねるなど、グループの中心的なメンバーだったとみられる。
http://www.at-s.com/news/detail/474564272.html
こんな詐欺が横行しているのが信じがたい。
少し冷静に考えれば、10%以上という好条件の投資話が、封筒が届いた人という条件で舞い込むはずがない。
69歳といえば、普通は思慮分別がついているだろう、と思う。
「封筒が届いた人には権利がある」という選別の仕方がイージーではないか?
なぜ自分が権利者として選ばれるのか?
「年利12%とか16%」などは、今どき有利過ぎる条件ではないか?
1つでも疑わないというのは、不自然であろう。
言葉を変えて言えば、アフガニスタン通貨投資詐欺などの被害者は、認知力に問題があるといえよう。
欲に目がくらんだためか、病気等でボケているか、である。
これに比べれば、息子を騙る振り込め詐欺などは、同情すべき点があるようにも思うが、ちょっとした注意で防げないものか。
詐欺というのは、山崎和邦『詐欺師と虚業家の華麗な稼ぎ方 人はこうして騙される』中経出版(0511)によれば、以下のようなプロセスを経る。
第一段階:サギろうとする相手(これを「カモ」と称する)を、ごく自然に錯覚に導くことである。
⇒2009年5月 4日 (月):詐欺の第一段階としての錯覚誘導
第二段階:カモが誘導された錯覚に基づいて意思決定するように仕向けることであり、これを「瑕疵ある意思決定」という。
⇒2009年5月 5日 (火):詐欺の第二段階としての瑕疵ある意思決定
第三段階:相手(カモ)に財物を提供させることである。
⇒2009年5月 6日 (水):詐欺の第三段階としての財物の受け渡し
しかし、アフガニスタン通貨詐欺の被害者にも同情したくなる世相ではある。
上記の事件は、静岡新聞の最終面裏のトップ記事であるが、同じ日の1面には次のような記事が載っている。
紙面には、セミナーの様子の写真も載っている。
新聞社がミャンマーへの投資を呼び掛けるセミナーを主催しているのである。
去年のことではあるが、カンボジアへの事業への投資目的の詐欺事件があった。
カンボジア政府公認のバス事業などへの投資名目で出資金を募った事件で、同様の手口で9人から約7380万円をだまし取ったとして、警視庁生活経済課は28日、詐欺容疑で、貿易会社「オネスティジャパンインセプション」元社長、中村修作容疑者(49)=東京都中央区勝どき=ら10人を再逮捕した。
同課によると、中村容疑者ら9人は容疑を認めているが、同社ナンバー3で管理課長だった難波由美容疑者(39)は容疑を否認している。これまでの被害者は13人、被害総額は約1億1千万円に上るが、同課は全国の1100人から約16億7000万円を詐取したとみて全容解明を進める。
逮捕容疑は、平成23年5~9月、「カンボジアのバス事業に投資すれば、300%の利益が上がる」などと嘘をつき、足立区の無職男性(70)ら9人から計約7380万円をだまし取ったとしている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121129/crm12112901300000-n1.htm
アフガニスタンにしろカンボジアにしろミャンマーにしろ、一般にはあまり馴染みがないだろう。
そこが詐欺グループの目の付けどころでもあるのだろうが、自分のよく知らないことに、大金を投じるものだろうか。
こうした詐欺の被害者は、どうしても高齢者が多いようである。
判断力が衰えているところを狙っているのだろう。
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