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2013年2月28日 (木)

普通名詞と固有名詞の相互転化/知的生産の方法(37)

2月23日は富士山の日だった。
「223」でフ・ジ・サン。
静岡県の川勝平太知事は、落下傘のようにやってきたが、富士山に格別の思い入れがあるようだ。

富士山は固有名詞であると同時に普通名詞でもある。
全国に、〇〇富士とよばれる「ご当地富士」がある。
北から南まで、北海道の蝦夷富士「羊蹄山」、東北地方の代表の津軽富士「岩木山」、中国・四国地方の伯耆(ほうき)富士「大山」、九州地方の薩摩富士「開聞岳」などが有名である。

これと逆に、普通名詞が固有名詞のようになっている例もある。
先日、興味深い知財判決が下された。
よく知られている「あずきバー」の商標登録をめぐってである。

 棒アイス「あずきバー」の商標登録を認めなかったのは不当だとして、井村屋グループ(津市)が特許庁の審決取り消しを求めた訴訟の判決が24日、知財高裁であった。土肥章大裁判長は「『あずきバー』は井村屋の商品として広く認識されている」として、請求を認める判決を言い渡した。
 商標法は「原材料や形状などだけで表示された商標」を登録できないと定めており、土肥裁判長は「あずき」と「バー」の組み合わせについて「特段の独創性は認められない」と指摘。一方、あずきバーの年間販売本数が2億5800万本(平成22年度)を記録している点などに言及し、「高い知名度を獲得している」として、同法の別の規定を適用し登録することが可能と判断した。
Photo
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130124/trl13012418460002-n1.htm

商標権とはどのような権利か?
Wikipedia では以下のように解説している。

商標(しょうひょう)とは、商品を購入し、あるいは役務(サービス)の提供を受ける需要者が、その商品や役務の出所(誰が提供しているか)を認識可能とするために使用される標識(文字、図形、記号、立体的形状など)をいい、商品の販売に際しては商品または商品の包装、役務の提供に際しては、役務の提供に使用される物や電磁的方法により行う映像面に付して使用する。需要者は、標章を知覚することによって商品や役務の出所を認識し、購入したい商品、または提供を受けたい役務を選択することができる。
商品の販売や役務の提供を継続すると、使用されるブランドは需要者に広く知られることとなり、商品の品質や役務の質が一定以上のものであれば、業務上の信用力(ブランド)が化体し、財産的価値が備わるようになる。この財産的価値は、特許権や著作権にならぶ知的財産権の一つと位置づけられ、条約や法律による保護対象となっている。これにより産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することができる。

要するに、ある商品を他の商品と識別するための標識であり、ブランド的価値を有するものについて認められるものである。
商標法では、第3条で、商標を受けられないものとして、下記を挙げている。

  その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

「あずきバー」は、あずきの入ったアイスバーであるから、材料、形態を表示しただけともいえる。
その意味で、特許庁の審決は妥当のようにも思える。

しかし、2項に次のような除外規定がある。

  前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる

井村屋の「あずきバー」は、まさに長年の使用によって、消費者が「井村屋の」あずきバーであることを認識できるもの、といえる。
商標権が認められて当然といえよう。

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