「二重らせん」という認識の枠組み/知的生産の方法(35)
二重らせんといえば、DNA の構造として有名である。
ワトソンとクリックにより、DNAの二重らせん構造が1953年に低唱され、彼らはこの業績により、1962年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。
http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/textbook/geneteng.htm
かのライナス・ポーリングもDNAの立体構造について研究し、ワトソンとクリックの論文の数ヶ月前に三重らせんモデルを提案していたそうである。
後にDNA密度測定により二重らせんが正しいことが証明された。
ポーリングは、3つ目のノーベル賞を逃したことになるのか?
「科学」岩波書店のの2003年2月号は、「二重らせん発見50周年」という特集を組んでいる。
それからちょうど10年が経ったわけであるが、特集のまえがき部分に次のような記述がある。
2人が明らかにしたDNAの二重らせん構造は、まずその構造に由来する見事な複製メカニズムに驚きがありました。そしてまた、生物がすべてDNAという遺伝情報を有していることを示したのです。誤解を恐れずに言えば、ヒトが初めて生物学における「定理」を見つけた出来事と言えるかも知れません。ヒトは、ようやく自らの存在を生物の延長線上で相対的に位置づけられるようになったのです。
生物学におけるDNAの二重らせん構造の意義は、以上では尽くし切れていないにしても、その一端は窺えよう。
しかし、DNAの二重らせん構造のイメージは、より膨らんでくる。
たとえば、畑山博『宮沢賢治の夢と修羅―イーハトーブのセールスマン』プレジデント社(9509)は、「はじめに」で次のように書いている。
ヒマラヤを越えるとき、その鶴たちは、激しい上昇気流にをつかまえ、二列になり、互いに相手の列を回り合う二重らせんのようになって突進します。
・・・・・・
そしてそういうことに慣れてくると、歴史もまた、ある出来事と出来事の因果関係の流れが、二重らせんのように絡み合いながら進行しているということに気付きます。
二重らせんというのは、この世のとても大事な法則の一つなのかもしれないと、私は思っています。
物事には「陰」と「陽」という2つの側面がある。
「陰」と「陽」は、静止の場合には美しいシンメトリーを構成している。
しかし、ある方向性をもって動き出すと+-で、-になって滅びの方向に行ってしまう。
畑山さんは、二重らせんを考えれば、+-だけでなく、++や--の組み合わせもできる、という。
弁証法と同じようなことだろうか?
『「キレ」の思考 「コク」の思考』東洋経済新報社(1211)の村山昇さんのサイトから借用しよう。
この図式自体は馴染みがある。
弁証法の基本である。
⇒2011年1月11日 (火):起承転結の論理/知的生産の方法(6)
⇒2012年5月 9日 (水):リハビリの弁証法/闘病記・中間報告(49)
自律した個が集まった組織は強い、というようなことがいわれる。
自律の対概念として、他律が考えられる。
自律と他律は往々にして両立しない。対立物と考えてもいいだろう。
これを両立させるのは、止揚に似た合律ではないか。
つまり、個と組織の間に次のような相互関係がある。
個と組織が相互に影響を与えながら発展していくわけである。
図は2次元で描かれているが、時間軸を入れて考えれば、個と組織の二重らせん構造ということになるであろう。
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