2つの高千穂/やまとの謎(76)
元旦に覗いた三嶋大社はさすがにすごい人混みで、身障者は身の危険を感じるほどであった。
三が日を過ぎて、まだ常よりも人は多かったが、さすがに昨日はスムーズに参拝できた。
元来無神論者であるが、今までの人生で神頼みをしたことも再々あったこので、まあ債務を返済するような気分でもある。
しかし、晴れ着姿というものもめっきり少なくなったという気がする。
初詣に行ったついでに立ち寄ったコンビニで、山本明『いちばんやさしい古事記の本―地図と写真から読み解く! 』西東社(1301)を買った。
その中に、「天孫降臨の地」として以下のような説明があった。
記紀神話のなかで重要な意味をもつのが天上界から皇室の祖、邇邇芸命が地上に降り立つ「天孫降臨」だ。邇邇芸は天上界の最高神の孫。ゆえに天孫という。古事記は降臨の地を「筑紫の日向の高千穂の久士布流多気」と記す。その候補地はいくつかあるが、有力とされているのが、宮崎県にあるふたつの高千穂だ。
2つの高千穂の間には100kmほどの距離がある。
そして、その中間に西都原古墳群がある。
西都は中田力氏が、『魏志倭人伝』の記述から、邪馬台国に比定した場所だ。
⇒2012年11月20日 (火):「邪馬台国=西都」説/オーソドックスなアプローチ
高千穂町には、高千穂神社、天岩戸神社の他に、櫛触(クシフル)神社がある。
くしふる神社の鎮座するくしふるの峰は肇国の昔天孫瓊々杵尊が三種の神器を奉戴してこの国を治める為に天降られた聖地として古史に記されています
http://www.kumaya.jp/atikoti100.html
一方、高千穂峰には逆鉾の他、近くに韓国岳があって、『古事記』の「ここは韓国に向かい、笠沙の御崎にもまっすぐに通じ、朝日がまっすぐ射す国、夕日が輝く国である。とてもよい地だ」という記述に相応している。
⇒2012年5月 8日 (火):火山活動との共生/花づな列島復興のためのメモ(62)
笠沙の御崎は、現在の野間岬といわれる。
2つの高千穂は、ともに天に近い山間部にある。
上掲署の解説では、高千穂は高く積まれた稲穂の意味で固有名詞ではなく、場所を特定する意味はないとするのが近年の主流だ、ろある。
いずれにせよ、日向(宮崎県)が、大和以前において重要な地であったということだろう。
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