代議制民主主義の功罪/花づな列島復興のためのメモ(170)
2009年総選挙によって醸成された政治への期待感は、その後の民主党政権の3年4月の姿によって、見事に雲散霧消したといえよう。
これを、「選んだ国民のレベルに応じた政治だった」などとシニカルに語りたくはない。
2010年参院選で、早くも民主党が惨敗したので、いわゆる「ねじれ構造」が発生(定着?)したが、このような反作用はつきものなのか?
ここで、わが国の基本的な政治形態である「代議制民主主義=間接民主主義」をもう一度考え直す必要はないのだろうか?
今回の総選挙の特徴は、12政党(政治団体)が乱立した多党選挙であることだろう。
しかも、政党が分裂、合流を繰り返し、政党の安定性が揺らいでいるし、選挙後の連立の枠組みも定かではない。
このような現象は、たまたま現在が過渡期にあって、混乱しているだけなのか、あるいは長期的なトレンドとしてそうなのか?
有権者としては、どの政党に投票したらいいのか、ずいぶん悩ましい選挙になると予想される。
このような状況において、代議制民主主義あるいは政党内閣制は、真に民意を反映した政治を行えるのだろうか?
代議制民主主義は、小学生の頃から普遍の価値をもった制度だというように教えられてきたような記憶があるが、現代のように、情報通信が発達した社会においても、代議制民主主義は最も有効な制度なのだろうか?
特に、小選挙区制の下での多党選挙にはいわゆる「死に票」が多いといわれる。
90年代に政治改革が叫ばれ、小選挙区制度に変わった。
小選挙区制度によって、二大政党制になるので、政策論争中心となる、といわれた。
しかし、現在までの実情は、そのような言説が絵に描いた餅に過ぎないことを示している。
現に、二大政党が衰退し、多党化が起きている。
慶應義塾大学・小林良彰客員教授の『政党乱立は政治家の「再選のため」に起きていた-異例の多党選挙で有権者が選ぶのはどの政党か』(ダイヤモンド・オンライン121205日号)に、以下のような説明がある。
具体的には、日本の衆院選の小選挙区で当選した候補者の平均得票率は50%程度しかなく、残りの50%は死票になっている。言い換えると、小選挙区制度で吸収できる民意は約50%しかなく、それで選ばれた衆議院議員が国会で多数決を行うために、さらに半分の25%の民意で国会の議決が決まってしまうことになる。しかも定数不均衡が1対2.4となっている地域もあるため、地方の有権者の10%の意志、いや、投票率は約65%と考えれば6~7%の有権者の意志で小選挙区の議席の半分が占められていると言ってもいい。したがって国民の多くが賛成する政策が国会で通らず、国民の多くが反対する政策が国会で通ることになる。つまり、民意から遠く離れた政治が行われることになる。
小選挙区制の弊害であろう。
「国民の多くが反対する政策が国会で通ることになる」典型例として、大飯原発再稼働がある。
安定した地盤でないところに構造物を作るのはきわめて危険であるのは分かり切っているのに、「活断層かどうか断定できないから稼働を続ける」というのが、野田政権の判断であった。
惨事を起こした笹子トンネルでも、破砕帯の存在が、施工をした飛島建設のサイトに載っている。
途中に200mもの区間にわたる破砕帯(自然の力で岩盤が乱され、壊された状態)に遭遇し、粘土化した地山と毎分6トンもの湧水に見舞われた難工事でしたが、トビシマの技術力により克服しました。
当然、この破砕帯は、東北沖太平洋地震の巨大な力を受けているはずである。
破砕帯が存在するにも拘わらず、目視だけのメンテナンス(?)。
あり得ないことだと思うが、大飯原発を稼働させる精神と共通するものではなかろうか。
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コメント
笹子トンネルの件ですが、トンネルのような大規模な工事の場合、工区が複数に分かれています。
笹子トンネルは飛島も施工しましたが、事故のあった該当工区の施工は、他の大手ゼネコン2社の施工です。
リンクまで付けて、あたかも事故箇所を飛島が施工したかのような書き方をされるのは如何かと思います。
投稿: | 2012年12月 9日 (日) 02時54分
デマは一刻も早く取り消せ。まだ間に合うぞ。
投稿: 明日香 | 2012年12月11日 (火) 23時18分