違憲状態で勝利して改憲とは?/花づな列島復興のためのメモ(176)
総選挙に圧勝した自民党の安倍総裁は、早くも憲法第96条の改正に意欲を示している。
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
改憲の発議に、3分の2の国会議員が必要、言いかえれば3分の1が反対すれば発議ができない、という条項がハードルが高すぎるということである。
連立のパートナーとなるであろう公明党は消極的であっても、日本維新の会やみんなの党と連携すれば、96条改正のチャンスと見たのだろう。
しかし余りに性急ではなかろうか。
他に優先的に取り組むべき課題があると思う。
そもそも今回の総選挙は、最高裁により違憲と判断された状態で行われたものであった。
⇒2012年10月18日 (木):永田町に繁殖するシロアリを退治せよ/花づな列島復興のためのメモ(151)
戦後最低の投票率に終わったことは、有権者の側の問題が大きいであろうが、投票行動を誘起できない一因は制度にもあると思う。
自民党は、294議席を得たが、それは自民党あるいは自民党候補者が積極的な信任を得たのではないことは、当選者が最も感じていることであろう。
小選挙区で自民党候補の名前を書いたのは、全有権者の4分の1程度に過ぎない。
また、比例区で自民党に票を投じたのは約16%であった。
東京新聞2012年12月18日
私は民主党の敗北は当然の結果であると思うが、それでも小選挙区での自民党と民主党の得票率と議席数をみると、余りにその落差が大きいのではないかと考える。
自民党:得票率 43.01% 議席数 237(/300=79%)
民主党:得票率 22.81% 議席数 27(/300= 9%)
つまり、得票率において自民党の50%強の民主党は、議席数においてはわずか11%強に過ぎない。
前回総選挙では逆の現象が起きていたのだからオアイコではあるが、民意の正確な反映という意味では如何なものかと思う。
それにしても、このような選挙で勝って、それで任期の期間は独裁の権限を付託された、などということが、いかに現実離れした空論であるかが、改めて確認されたということだろう。
⇒2011年8月14日 (日):退陣菅内閣の「7つの大罪」論と後継内閣の責務
世論調査でも、自民党の圧勝という結果に違和感を持つ人が、少なくないことが示されている。
静岡新聞2012年12月18日
「0増5減」などという小手先の選挙制度改革ではなく、可能な限り民意を反映するような制度改革がなされるべきだろう。
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