危険の可能性を指摘された原発は稼働させるな/花づな列島復興のためのメモ(177)
またしても、原発敷地内の断層が活断層の可能性が高いという判断が示された。
東北電力東通原発(青森県東通村)である。
東通原発は、東北電力と東京電力の2社が敷地を保有している。
東通村は、本州の最北端・下北半島にある。
東北電力東通原発がある青森県東通村で、海岸線から約1.3キロ内陸の地点まで、過去約千年間で少なくとも5回の大津波が来たことを示す地層が見つかったとする調査結果を、北海道大の平川一臣特任教授がまとめました。以下にご紹介します。
「東通村では営業運転している東北電力東通原発1号機(定期検査中)のほか、建設中や計画中の原発3基(東北電力1基、東京電力2基)がある。見つかった地層は東通原発からの約6キロの距離にあり、標高約5メートルの場所。建設時に東北電力が想定してきた津波の高さは6.5メートルだが、同社は実際に地層を掘削する津波の調査はしておらず、発見は論議を呼びそうだ。
平川特任教授によると、調査は7月中旬に東通村の小田野沢地区で実施。947年に朝鮮半島の白頭山が噴火した火山灰の層の上に、津波によるとみられる堆積物の砂の層を五つ確認した。火山灰層の下にも1層あったという。津波を起こした地震などの詳細は分かっていないが、平川特任教授は「1611年の慶長三陸地震などが考えられる」としている。
慶長三陸地震では北海道でも津波被害が発生。また、ほかにも北海道沖を震源として500年間隔で地震があり、東北から北海道まで広範囲に大津波が押し寄せた可能性もある。ただ現在まで十分な調査が進んでいないという。
東通村がある下北半島にはほかにも、建設中の電源開発・大間原発(大間町)や使用済み核燃料の中間貯蔵施設(むつ市)など多くの原子力関連施設がある。平川特任教授は「下北半島は非常に重要で、あらためてさまざまな調査をするべきだ」と指摘している。」
http://blog.jisinbousai.net/?eid=717185
そこに今回は活断層の可能性が高いことが指摘されたわけである。
島崎邦彦委員長代理ら現地調査した5人の専門家は、活断層の可能性が高いとの見解で一致した。活断層ではないと主張する東北電は、原子炉への影響を考慮してきておらず、再調査や耐震性の見直しは必至。同原発の再稼働は、当面困難となる情勢だ。
5人は13、14両日、現地で、原子炉建屋の近くを南北に走る「F-3」「F-9」などの断層を調査した。
専門家らは会合で、これらの断層について「考慮すべき活断層だ」(粟田泰夫・産業技術総合研究所主任研究員)などと口をそろえ、島崎氏は「活断層ではないという主張は到底受け入れ難い」と結論付けた。
東北電は、粘土層が地下水を吸って膨張する「膨潤」が地層のずれの原因とし、「活断層ではない」と主張している。規制委は26日に同社から意見を聞いて最終判断する。同社は従来の主張を繰り返す方針。
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/12/20121221t23001.htm
敷地内の断層は原子炉建屋から数百メートル離れている。
施設直下を走る日本原子力発電敦賀原発とは異なり、「再稼働は可能」と判断される可能性はあるが、一般論というか常識的に考えて、再稼働はあり得ないだろう。
「疑わしきは罰せず」という法理とは異なる。
原子炉の安全性については、「疑わしきはNo」なのだ。
⇒2012年7月24日 (火):何をもって安全性の証明とするのか?/花づな列島復興のためのメモ(117)/因果関係論(15)
しかも、原子力規制委員会の専門家調査団の全員一致した見解である。
なぜか、将来のエネルギー政策は、総選挙の争点としては真剣に討論される期間がなかった。
自民党と民社党の間で、共に争点化を避ける方向の力が働き、一種のなれ合いが生じていたのではないか?
いま、原発の立地や稼働が最優先、安全、安心は二の次という電力会社の体質に政治が追随するならば、立憲政友会と立憲民政党という戦前の二大政党による過ちを繰り返すことにならないか?
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