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2012年12月 1日 (土)

琵琶湖の地政学/花づな列島復興のためのメモ(166)

水問題に関する国際会議に、世界水フォーラムというものがある。
Wikipediaによる説明は以下の通りである。

世界水フォーラム(せかいみずフォーラム、World Water Forum、略称:WWF)とは、民間のシンクタンクである世界水会議(World Water Council、略称:WWC)によって運営されている、世界の水問題を扱う国際会議。世界で深刻化する水問題、特に飲料水、衛生問題における世界の関心を高め、水企業、水事業に従事する技術者、学者、NGO、国連機関等からの参加で世界の水政策について議論することを目的とする。国連主催の正式な会議ではないが、各国の政府関係者や政府代表も多数参加し、閣僚宣言も出されることから、世界の水問題とその政策に関する議論に大きく影響を与えている。

日本では、2003年3月16日~23日に京都で第3回世界水フォーラムが開催された。
アジアでは初めてであり、182の国・地域、43の国際機関から約24000人(海外からは6000人)が参加した。
その開会式で皇太子殿下が記念講演をされた。
演題は、「京都と地方を結ぶ水の道-古代・中世の琵琶湖・淀川水運を中心として-」というものであった。
開催地に相応しいテーマといえよう。
講演内容は、宮内庁のサイトに掲載されている。
「はじめに」の一部を引用する。

 京都は内陸部の都市ですから,日本に於ける水運の要だったといえば,不思議に思われるかもしれません。まず,(地図1)により,京都の地理的な位置を,水運という観点から確認したいと思います。
 京都の西には,隣接する大阪府から西に瀬戸内海が広がっています。瀬戸内海は,本州,四国,九州という日本列島を構成する島々に囲まれて,波も比較的穏やかで,製塩地,森林地帯,農産地をその後ろに控え,古来より物資流通の大動脈として機能してきました。
 現在の京都には,大阪湾に注ぐ淀川の支流,桂川,鴨川,宇治川が流れています。つまり,瀬戸内海と京都とは,河川によって結びついております。
 また,京都市の東には,滋賀県の中央部に日本一大きい琵琶湖という湖があります。琵琶湖は南北に約50キロメートルあり,琵琶湖の北端から日本海へは直線で約20キロメートルであります。琵琶湖の東には,古代から東日本へ通じる主要な街道が通っておりました。この点だけを見ていただいても,京都が西は淀川を通じて瀬戸内海へとつながり,西日本の各地と結びついており,東は琵琶湖を通じて日本海や東日本の地域へ,比較的アクセスしやすい地理的条件を備えていることが,お分かりいただけると思います。
 ところで,今回の水フォーラムでは,琵琶湖の水運,淀川の水運も議題の一つとうかがっていますが,今までお話ししてきたことからも,京都という場所を考える上で,琵琶湖と淀川の水運が,大きな役割を果たしてきたことがご想像いただけるかと思います。

近代において動力機械が発明され、陸上交通に利用されるようになるまで、物流は基本的には水運(舟運)に依存していた。
大坂や江戸などの大都市は、いずれも沿岸部であると同時に、きめ細かな水路が神経のように都市の各地域を繋いでいた。
大坂も江戸も水の都であった。

今年の2月ごろ、「ブラタモリ」というTV番組で、小名木川のことをやっていた。
江戸のごく初期に家康の命で作られた運河で、行徳の塩を江戸に運ぶためのものであった。
小名木川は、現在でも生きている水路であるが、多くの水路が埋め立てられ、街の風情を著しく損なった。
利便性・効率性と風情は、所詮両立しがたいものである。
Photo

水はもちろん水路としてだけでなく、生命にとっての必須の物質である。
と同時に、洪水や津波のように、おおきな脅威の元でもある。
水の存在様式は、人間の活動にとって、おおきな作用因子である。

地政学という分野がある。
地理的な環境が国家や地域に与える政治的、軍事的、経済的な影響を検討する。
代表的なテーマは、大陸、半島、島国などの性格の違いというようなことである。
水は、まさに上流と下流、左岸と右岸、沿岸と内陸のように、地域的な関係を規定する要素であろう。
⇒2009年10月16日 (金):八ツ場ダムの深層(6)吾妻川の地政学

琵琶湖というものの持つ意味、そして「日本未来の党」の持つ意味は、地政学的な観点からも興味深いところのように思える。
ところで、「日本未来の党」の出現は思わぬアクシデントももたらした。
岡山県の倉敷市選管が、衆院選の投票所入場券に「未来へ一票。」との記載があるものを用意した。
これでは「日本未来の党」への投票呼び掛けと受け取られかねないとして刷り直すことにしたそうである。
まあ、「想定外」ということだろうなあ。
121129
山陽新聞121129

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