総選挙における各党のポジショニング/花づな列島復興のためのメモ(167)
4日公示される総選挙の争いの構図が明瞭になってきた。
嘉田滋賀県知事が2日、日本未来の党の公約を発表したが、リベラルの旗幟を鮮明にしたものだった。
軸となるべき政党の右傾化の中で、差別化がはっきりしたといえよう。
⇒⇒2012年11月23日 (金)民主党政権への挽歌/花づな列島復興のためのメモ(160)
東京新聞121203
田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授] 氏は、「ダイヤモンド・オンライン」121128号の『嘉田知事の「日本未来の党」が総選挙の鍵を握った-選挙構図も政権の枠組みも激変する!? 』で、今回の総選挙に大きな明るい展望が開けてき、この動きが総選挙の台風の目になるに違いない、と書いている。
私もそうあって欲しいと願う。
長年の自民党の政治の弊に対して、元来保守的な層の人たちでさえ叛旗を翻したのが前回総選挙だった。
そこで「希望の星」として民主党に投票したのだが、政権交代だけが目的だった寄合所帯の政権は惨憺たるものだった。
民主党にリベラルのレッテルを貼り、「リベラルはだめだ」というように論評されたりした。
ダメなのは民主党であって、必ずしもリベラルということではあるまい。
リベラルという用語も歴史的に変化してきているが、Wikipediaでは、現代の政治思想としてのリベラルを、次のように解説している。
20世紀後半、石油危機後の低成長時代を迎え、スタグフレーションや財政赤字といった問題が深刻化する中、従来のリベラリズムに対する批判が経済学のシカゴ学派から始まり、福祉国家の見直しや国営企業の民営化、規制緩和を志向する新自由主義が優勢となった。その後、1980年代の新自由主義への対抗から、小さな政府と大きな政府との中道を模索し、市場を重視しつつも国家による公正の確保を志向する第三の道が1990年代に台頭した。2000年代の今日では、グローバル化の進行に伴い、市場を自由化しようとするリバタリアニズムや新保守主義とどのように対応していくかがリベラリズムの課題となっている。
いま、自民党は旧態から脱皮しえず、民主党は自民党と無差別になってしまった。
⇒2012年6月 4日 (月):乾坤一擲の覚悟で自民党に擦り寄る野田首相を嗤う/花づな列島復興のためのメモ(76)
⇒2012年6月10日 (日):政権は自民党野田派か?/花づな列島復興のためのメモ(82)
⇒2012年9月21日 (金):野田氏のポジショニングは自民党総裁候補と無差別
わが国の「失われた20+α年」に責任を共有する民・自両党が二大政党である時代は終わったのだ。
必然的に第三極への期待が高まることになる。
第三極の旗手となるかと思われた橋下大阪市長の日本維新の会は、石原前都知事の太陽の党との合流により失速した。
失速の要因の1つに、反リベラル姿勢があると考える。
田中氏は以下のように書く。
橋下徹氏の第三極Aと嘉田氏の第三極Bは互いに競い、互いに認め合って二大政党を隅に追いやる役割を果たせばよい。AとBの対決が本格的な論戦として激しくなればなるほど、自民対民主の対決の影が薄くなり、結果的に総選挙後の政界地図を大きく塗り替える。
A,B以外の第三極はどうか?
選挙後のことを言うのは早計だろうが、小異を捨てる合従連衡が進むだろう。
田中氏は、次のように書いている。
そのみんなの党は総選挙後AとBを連携させるかけがえのない接着剤とならねばならない。また、第三極中心の政権が樹立できれば、その政権の中核的存在になることが期待される。だからAとBの間にひとり身を置くことは最も有力な選択肢と言える。
第三極が現実を動かすためには、大同化が必要である。
第一段階として、行政改革、官僚改革など統治構造の改革を柱に、まとまったらいいのではないかと考える。
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