天孫降臨の年代と意味/やまとの謎(71)
中田力氏は、『日本古代史を科学する 』PHP新書(1202)において、邪馬台国を宮崎平野に比定し、安本美典氏の提唱した「天皇の即位年数解析法」をして、古代天皇の在位期間を推定する。
初代神武から29代欽明までを、次の4つのグループに分ける。
神武~開化(1~9)
崇神~仲哀(10~14)
応神~武烈(15~25)
継体~欽明(26~29)
そうすると、これらの天皇の在位期間が不自然に延長されていることが推測される。
⇒2012年11月26日 (月):邪馬台国と『記紀』の年代論/やまとの謎(68)
そこで、それを修正することにより、これらの在位年代を推測すれば、下図のようになる。
上掲書p91
すると、神武の即位年は282年と計算される。
もちろん、推計の誤差はあるが、それを考慮しても卑弥呼の年代は神武以前ということになる。
他の記述から、『魏志倭人伝』における卑弥呼の像と、『記紀』におけるアマテラスの像が重なることが、和辻哲郎などによって指摘されていたが、数理的な解析からもそれが裏付けられることになる。
実は、このことは、安本美典氏が既に論じていたことである。
⇒2008年11月16日 (日):安本美典氏の『数理歴史学』
⇒2008年12月 1日 (月):邪馬台国に憑かれた人…②安本美典と「神話伝承」論
⇒2009年11月26日 (木):卑弥呼の死(7)天照大御神の年代観
⇒2009年11月29日 (日):卑弥呼と天照大御神/「同じ」と「違う」(14)
『記紀』では、死んだ妻イザナミを追って黄泉の国を訪れたイザナギが、禊することによって、左目からアマテラス、右目からツクヨミ、鼻からスサノオが生まれた。
高天原はアマテラスが、黄泉の国はスサノオが受け継ぐ。
黄泉の国は出雲に比定されている。
高天原と黄泉の国が、現存した二大勢力を反映したものであったとすれば、高天原は邪馬台国の反映と考えるのは自然であろう。
禊をした場所はどこか?
宮崎県のシーガイアの近くの阿波岐原(みそぎ池)と言われている。
みそぎ池は、一ツ葉海岸に隣接する阿波岐原森林公園内にあり、近くにはイザナキノミコトを祀る、延喜式(967)に日向四社として紹介されている古社、江田神社をはじめ、シーガイアやフローランテ宮崎、フェニックス自然動物園など多くの観光施設がある。
http://isan.kanko-miyazaki.jp/search/search.php?key=3&kbn=evn
天孫降臨までは、物理的な空間としても、『記紀』神話のストーリーからも、わずかな距離である。
⇒2012年4月19日 (木):入院しました/闘病記・中間報告(42))
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