御殿場の岸信介の旧邸/戦後史断章(9)
次期首相に内定している自民党安倍総裁の母方の祖父が、岸信介である。
⇒2012年10月 3日 (水):自民党総裁選の決選投票をめぐる因縁/戦後史(1)
Wikipediaの岸信介の項に載っている系図は以下の通りである。
岸は、戦後世代にとっては、60年安保の一方の主役として記憶されている。
⇒2012年10月22日 (月):60年安保と岸信介/戦後史(3)
しかし、岸は、戦前から農商務省のあるいは満洲「国」のエリート官僚として活躍していた。
終戦と共に、A級戦犯の容疑で巣鴨拘置所(俗に巣鴨プリズンといわれる)に拘留されたが、「奇跡」的な復活を遂げ、あれよあれよという間に、首相になった。
岸のことを、「昭和の妖怪」などと評するが、昭和自体がすでに「遠くになりにけり」である。
岸は、晩年を御殿場市東山で過ごした。
御殿場市は、東海の軽井沢などとも呼ばれ、秩父宮旧邸など由緒のある建造物が少なくない。
その御殿場市の「東山旧岸邸」が、今年の静岡県景観賞民間施設部門の優秀賞を受賞した。
東山旧岸邸は1969年に建築家吉田五十八が設計、建築した近代数寄屋造りの私邸。伝統的な数寄屋建築と近代的な住まいの機能を持ち合わせた建築物として評価も高い。2003年に同市に寄贈され、09年から一般公開されている。イヌシデやムクロジ、岸元首相の好みで選ばれたノムラモミジなどの樹木が色づき始めた庭園には小川も流れ、来館者が自由に散策できる。
景観を保つため、施設管理者などが毎日の清掃以外に月に1度、庭園や建築物の清掃活動を行い、保全に努めているという。
昨年、優秀賞を受賞し、岸邸に隣接する「とらや工房」では、茶や茶菓子も楽しめる。来場者は落ち着いた雰囲気の中で季節の移ろいを味わっている。
http://www.at-s.com/news/detail/474541666.html
閑静な環境の中の瀟洒なたたずまいであり、こんな邸宅は庶民的な発想ではとても手に入るようなものではない。
毀誉褒貶はあるが、昭和を代表する人物の1人であると思う。
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