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2012年12月 5日 (水)

争点としての原発政策/花づな列島復興のためのメモ(169)

第46回衆議院選挙が、4日公示された。
東日本大震災後初の大型国政選挙であり、合計480の議席を争うことになる。
争点は多岐にわたるが、比較的旗幟が明瞭に分かれているのは、エネルギー政策、ことに原子力発電の位置づけであろう。

議席を競う12党の党首の公示第一声では、7人が「脱原発」を掲げ、2人が容認姿勢を鮮明にした。

 脱原発を訴えたのは民主、日本未来、共産、みんな、社民、新党大地、新党日本の各党。ただ、力の入れ方には温度差もあった。
 民主党の野田佳彦首相(党代表)は、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを目指す考えを強調。「脱原発か続原発か。時代を逆戻りさせない」と声を張り上げたが、取り上げ方は他の政策と横並びで、政権として判断した関西電力大飯(おおい)原発の再稼働にも触れなかった。
 これに対し、脱原発の本家を自負する党は、競うように聴衆に訴えかけた。
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 一方、原発容認派は自民党の安倍晋三総裁と日本維新の会の石原慎太郎代表の二人。
 安倍氏は、自民党が安全神話の中で原子力政策を進めてきたことを陳謝。脱原発依存の必要性は認めた。しかし、三年以内に各原発の安全性を検証した上で「大丈夫だと判断したものは再稼働していく」と明言した。
 石原氏はゼロにすれば、電気料金が上がって日本経済が大打撃を受けると主張した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012120502000120.html

日本維新の会は、石原氏が代行に就任して、脱原発から原発容認へ急旋回した。
合流を急いだ結果、内部のすり合わせも十分でないことが露呈している。

Ws000000_2 日本維新の会が発表した公約集「骨太2013~16」の表現が波紋を広げている。元になった党綱領集「維新八策」に比べ脱原発は曖昧な内容になったが、それでも幹部間の認識のズレが露呈した。環太平洋経済連携協定(TPP)も「国益に反する場合は反対」という留保を付けた。合流した旧太陽の党への配慮がにじみ、党内からは「切れ味に欠ける」との声も聞かれる。
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 旧太陽側の多くはもともと脱原発に反対。一方、関西電力の筆頭株主である大阪市の市長として電力供給体制の問題点を指摘してきた橋下徹代表代行にとって、脱原発は外せなかった。
 その結果、脱原発を(1)原発に依存しているメカニズムを分析した上でルールを制定(2)市場での電力需給調整や廃炉(3)再生エネルギーなどの活用――の3段階で検討。「結果として30年代までに原発がフェードアウト(消えてゆく)することになる」という文言を入れた。
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 一方、石原慎太郎代表は11月30日の党首討論会で「フェードアウト」の表現見直しに言及。幹事長の松井一郎大阪府知事はその後も「原発は30年代でフェードアウトする」と見直しを否定する。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0101P_R01C12A2PE8000/?dg=1

維新八策の段階では、「みんなの党」とは親和性がいいかと思われたが、「太陽の党」との合流により、守旧的イメージが強くなった。
選挙結果にどう影響するかは、まだ本格的な選挙戦が始まったばかりだから軽々には言えないが、おそらくは「太陽の党」との合流により、全国レベルでは無党派層の支持をかなり失ったのではないか。

石原代表の原発容認論は確信的なものであろうから、夏場に限定しない大飯原発再稼働には反対してきた橋下氏とは明らかに懸隔がある。
ブレーンだった飯田哲也氏が、「日本未来の党」の代表代行に就任したことから、関西広域連合として議論されてきた原発政策は、嘉田滋賀県知事のイニシアティブに移った。

石原代表の主張するように、「原発ゼロならば日本経済は大打撃を受ける」ことになるのか?
日本経済は、原発の社会的費用を負担しないで、競争力を維持しているのか?

争点はもちろん原発に留まらない。争いの構図はさまざまに考えられる。
民・自の二大政党か、第三極か、はその1つであると思われるが、第三極の中で、どの政党がイニシアティブを握ることになるのか、も興味深いところである。
私の住んでいる選挙区では、民・自・共・無所属の4人の候補者が手を挙げている。
果して誰に投票すべきか。
選挙制度が今のままでいいのか、という点も疑問である。

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コメント

原発政策、で私もブログに書きました。おっしゃるとおりですね。今後ともよろしくお願いします。

投稿: 戦後史の激動 | 2012年12月 6日 (木) 12時39分

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