多党政治はどこへ向かうのか?/花づな列島復興のためのメモ(159)
衆議院が解散されて、いよいよ総選挙である。
「1票の格差」の違憲状態は解消されないままであり、選挙違反ならぬ違反選挙であって、異常事態というべきであろう。
小選挙区を「0増5減」する法案を成立させたが、適用は次の次からとなるので、所詮アリバイ作りのようなものである。
歴史的な政権交代総選挙から3年3カ月が経ったが、ずいぶんと政治の風景は変わったものだというのが正直な感想である。
政権を獲得した民主党の姿は正視に耐えないほどの惨状だ。
前回総選挙で民主党に票を投じたものの1人として、不明を恥じる。
この間、鳩山、菅、野田と首相が交代したが、いずれも政権交代にかけた期待を、三様の形で裏切った。
挙句の果てが、先日の党首討論の際の野田首相の「“トラスト・ミー”という言葉が軽くなって、信じて貰えなくなった」という発言である。
ルーピー(ループ-日本語でいえば、くるくる・・・-の形容詞形)と評された鳩山元首相の言葉であるが、野田氏はどういうつもりで言ったのか?
ジョークにはなっていないし、揶揄したとすれば、鳩山氏が民主党籍に留まっていることを踏まえれば、いやしくも同志であり、人間性を疑わざるを得ない。
ドジョーの衣を被っただけであることが、党首討論という場で、衣が破れて真の姿が現れたのであろうか?
討論相手の安倍総裁からは、「軽くなったのは、“マニフェスト”や“近いうちに”も・・・」と切り返されていたが。
小選挙区制の導入により、政権交代が可能な2大政党の実現を目指していたはずが、民・自両党が余りの体たらくということもあって、かつてない多党による総選挙となりそうな雲行きである。
民主党では、首相の独断的解散表明により、離党者が出始めている。
民主党の分裂が止まらない。十五日、離党表明した山崎誠衆院議員は、同党離党者らでつくる参院会派「みどりの風」に合流。国会議員が五人となり、国政政党に仲間入りした。社民党の阿部知子衆院議員も合流予定だ。
民主党では、ほかにも山田正彦元農相らが新党結成を模索し、近く離党する考えで、この二日間で離党予定者は七人に達した。十二月四日の公示までに、さらに政党数が増える可能性がある。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012111690065748.html
民主党のアイデンティティが「政権交代」にあったとすれば、政権を失うことが確実視される状況では、瓦解するのも当然であろう。
⇒2012年6月16日 (土):民主党と野田政権のアイデンティティ/花づな列島復興のためのメモ(86)
そもそも政党とは何であろうか?
政治資金規制法や公職選挙法における「政党の要件」は以下の通りである。
1.国会議員が5人以上所属する
2.直近の衆院選または参院選で、選挙区か比例代表の選挙で有効投票総数の2%以上の得票がある―のいずれかを満たす
http://note.masm.jp/%C0%AF%C5%DE%CD%D7%B7%EF/
私的な集団である政党に公的資金を使っていいかどうかという問題もあるが、この要件を満たす政党だけでも下表の通りである。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012111690065748.html
最終的にどの政党が残るかは不明であるが、選択肢が多いこと自体は悪いことではない。
しかし、小選挙区制の下では、弱小政党は圧倒的に不利である。
「死に票」を覚悟して弱小政党に投票するか、よりマシな大政党を選ぶのか?
弱小政党は、「小異を捨てて大同につく」動きになるだろう。
野合と譏られないためには、綱領であるか、「軽くなった」マニフェストであるか、あるいは他の方法であるかは別として、アイデンティティははっきりさせるべきであろう。
⇒2012年6月17日(日):政党のアイデンティティを徴表するもの/花づな列島復興のためのメモ(87)
政党は、板垣退助らが1874年(明治7年)に結成した愛国公党に始まる。
政党内閣の始まりと言われる1918年(大正7年)の立憲政友会の原敬内閣、約100年を閲した。
どうやら日本の政治は大きな転機を迎えているようである。
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