大飯原発の活断層をどう考えるか/花づな列島復興のためのメモ(157)
再稼動の是非をめぐって、賛否両論が対立している関西電力大飯原発(福井県おおい町)の敷地内を走る「F-6断層(破砕帯)」が、活断層である疑いを持たれている。
調査のため、原子力規制委員会の調査チームが現地調査を行った。
関西電力は、10月31日、敷地内を走る断層「破砕帯」について、「活断層であると確認できない」とする中間報告を原子力規制委員会へ提出したが、結論はどうだったか?
破砕帯について、渡辺満久・東洋大教授が「活断層の可能性を否定できない」と指摘していた。
ボーリング調査や、断層面を掘り出すトレンチ調査などを行った結果、北側の海に近いトレンチで、関電がないとしていた断層を確認し、原子炉に近い山頂のトレンチでは、過去に断層が動いたことを示す粘土を確認した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012110302000108.html
調査チームは4日に、調査結果について議論するが、活断層かどうかの確認には時間を要するだろう。
断層が動いた年代を特定しなければならないからで、鉱物の詳しい分析や再調査が必要になる可能性があるからだ。
活断層と判断されれば、原発の耐震設計審査指針に反し、規制委は運転停止を求める見通しである。
しかし、この規制委の考え方は、活断層と確認されるまでは運転を認めるということである。
安全性の考え方が逆立ちしていると言わざるを得ない。
⇒2012年10月24日 (水):活断層定義問題と大飯原発の稼働/花づな列島復興のためのメモ(154)
「疑わしきは罰せず」という法理がある。
疑わしい、つまりグレーである場合には、疑われている側(被告)に有利になるように判断するということである。
しかし、安全性の考え方については、「疑わしきは罰する」とすべきであろう。
事故を未然に防ぐために、製造現場や工事現場などでは、「安全第一」という考え方が定着している。
⇒2012年6月 5日 (火):「なし崩し」に壊れていく「国のかたち」/花づな列島復興のためのメモ(77)
また、医学でも、「治療よりも予防」と言われる。
私のように、脳梗塞の後遺症のある身には、もっと注意すれば良かったと思っても、後悔先に立たずである。
⇒2011年10月 8日 (土):『沈黙の春』と予防の論理/花づな列島復興のためのメモ(8)/因果関係論(10)
規制委が活断層と認定しても、運転停止や廃炉にする法的な権限はないという。
「規制」の言葉が泣く、といいたいが、法整備がされるまでは、政治主導で取り組むべきだろう。
再稼動を検討していた時、関西電力が故意に活断層隠しをしていた疑惑も指摘されている。
北側断面図をもっと分かりやすくすると、こうなります。
2012年6月14日 テレビ朝日「モーニングバード」よりバックチェックの専門委員会でも、関西電力も保安院も北側断面図を隠し続け、F- 6断層は活断層ではない、という結論になりました。
http://onndannka.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-909a.html
関西電力の姿勢も検証されなければならないだろう。
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