民主党政権への挽歌/花づな列島復興のためのメモ(160)
衆院が解散され、12月16日投票ということになった。
このタイミングで、事実上政府が機能しなくなることについて批判はあるが、決まってしまったことは致し方ない。
選挙結果がどうなるかは不明だが、民主党が第1党でなくなることは確実のようである。
おそらくは、単独過半数を制する政党もなく、連立政権となるのだろう。
その組み合わせを今から論じることにも意味はないであろから、民主党政権の3年余を振り返って挽歌としよう。
民主党は、2009年の総選挙で圧勝して、念願の政権交代を果たした。
しかし、初代鳩山首相は、ルーピーと評される迷走ぶりの末に、「国民が耳を傾けなくなった」として、政権を投げ出した。
2代目菅首相は、首相としての国政選挙である参院選で大敗したのにも拘わらず、十分な反省なしに代表戦に勝って、首相の座に居続けた。
⇒2010年9月11日 (土):菅首相続投で、本当にいいのだろうか?
そして、政権運営において、どうかと思うような失敗を繰り返した。
⇒2010年11月23日 (火):菅内閣における失敗の連鎖
そして、自らの外国人献金疑惑と側近といわれていた土肥隆一衆議院議員の竹島を巡る問題発言で、絶体絶命の状態の時に、東日本大震災が起きた。
⇒2011年3月11日 (金):大規模地震で日本国はどうなるのか?
福島第一原発事故への対応も含め、その後は、震災対応が喫緊の課題となった。
この間の政府の対応については、国会事故調の報告に見られるように、少なからぬ疑問があるが、全貌は未だ明らかではない。
⇒2012年5月29日 (火):依然として不明朗な「藪の中」/原発事故の真相(32)
今後時間をかけてでも、真相に近づく努力をすべきだろう。
福島の事故や震災への対応とは別に、菅首相は自身の献金疑惑についてはどう考えているのだろうか?
まだ納得のいく説明を聞いた記憶はない。
⇒2011年8月 1日 (月):次第に明らかにされていく菅首相の献金疑惑の闇
3代目野田首相は、菅退任後の代表戦に勝って首相の座に就いた。
しかし、マニフェスト違反は、菅内閣までの実績で明らかであったのだから、その時点で信を国民に問うべきであった。
⇒2011年8月24日 (水):綱領なくして漂流する民主党の出口戦略を問う
野田首相は、最初は相田みつを氏の言葉を引用して、泥臭いが誠実であることをアピールすることからスタートした。
しかし、それが見せかけだけのことであるのが、組閣直後に明らかになった。
⇒2011年9月10日 (土):「閣内てんでんこ」の野田ドジョウ政権と言葉の力
そして、自ら自民党に擦り寄り、政権交代の意義を失わしめた。
⇒2012年6月 4日 (月):乾坤一擲の覚悟で自民党に擦り寄る野田首相を嗤う/花づな列島復興のためのメモ(76)
そしてついに、自民党と無差別、自民党野田派と評されるまでに至った。
⇒2012年6月10日 (日):政権は自民党野田派か?/花づな列島復興のためのメモ(82)
⇒2012年9月21日 (金):野田氏のポジショニングは自民党総裁候補と無差別
3年前の政権交代は、自民党的政治に対する「No!」であった。
しかし、今や民主党は進んで自民党的政治を行うまでに変質してしまった。
理由はさまざまであるが、政権交代後に民主党を離党した人の数が100人を超えたという。
衆院解散後も民主党の崩壊に歯止めがかからない。14日の野田佳彦首相の衆院解散表明以降、11人が党を離れ、気がつけば政権交代以降の離党者は102人と、ついに大台を突破した。衆参両院で423人いた国会議員は激減。しかも、離党者の行き先は保守系からリベラル系の政党までばらばらだ。ある意味、「寄せ集め集団」と言われた民主党らしい結末なのかもしれない。
・・・・・・
振り返れば、首相の消費税増税方針を批判した小沢一郎元代表に近い衆院議員9人が昨年末に離党し、新党きづなを結党したのが民主崩壊の第一幕。7月には小沢氏を含む49人が「国民の生活が第一」を立ち上げるなど、離党者は昨年9月の野田政権発足以降に集中した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121123/stt12112311370001-n1.htm
自党の議員がこぞって解散反対(常任幹事会という機関決定)にもかかわらず、解散を実行した野田氏だから、離党者が野田政権発足以降に集中するのも当然であろうか。
総選挙に名前を連ねる政党の数は多い。
しかし、現実的に政権を担う可能性のある政党は限られている。
気になるのは、政権の軸となるであろう政党の右傾化傾向である。
東京新聞121121
野田首相の民主党が自民党と無差別であるとすると、前回総選挙で示された「アンチ自民党的政治」の現実的な受け皿はどの政党になるのであろうか?
熟慮の時である。
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