大手電機メーカーは恐竜か?/花づな列島復興のためのメモ(156)
大手電機8社の9月中間連結決算が発表された。
東芝とNECを除く、6社の最終損益が赤字または大幅な減益である。
静岡新聞121102
中でも、パナソニックとシャープの家電2社は巨額損失を計上した。
薄型テレビなどデジタル家電の価格下落に対応できずに競争力を失っているのが主因である。
いわゆるコモディティ化現象といえよう。
ある商品カテゴリにおいて、競争商品間の差別化特性(機能、品質、ブランド力など)が失われ、主に価格あるいは量を判断基準に売買が行われるようになること。一般に商品価格の下落を招くことが多く、高価な商品が低価格化・普及品化することを“コモディティ化”という場合もある。
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一般にコモディティ化が起こりやすいのは、機能や品質が向上してどの製品・サービスでも顧客要求を満たす(オーバーシュート)ようになり、さまざまな面で参入障壁が低く、さらに安定した売上が期待できる市場においてである。
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コモディティ化が起こると、競争激化によって価格が下落し、企業収益が悪化する。
http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/commoditize.html
特に、経営再建中のシャープは、「継続企業の前提に関する重要な疑義」が存在すると発表した。
「重要な不確実性」については、否定した。
「継続企業の前提」とは、企業が将来も事業活動を続けられる、という前提であり、普通は当たり前のことであるが、本業の赤字などで懸念がある場合には、決算短信などに「重要な疑義」と記載して、投資家に周知しなければならない。
対策をとっても不確実性が残る場合には、「重要な不確実性がある」ことを記載しなければならない。
シャープは、創業100年の歴史上初めて「継続企業の前提に関する重要な疑義」の存在を認めざるを得なくなったのである。
ついこの間まで、輝いていたにも拘わらず、である。
⇒2012年4月 5日 (木):AQUOSブランドの凋落/花づな列島復興のためのメモ(47)
3月末の本決算発表時までにV字回復できなければ、「不確実性」についても記載せざるを得なくなる可能性があるだろう。
会社更生法の適用を受けた半導体大手のエルピーダメモリのことを想起せざるを得ない。
同社は、「疑義」と「不確実性」を記載した結果、破綻した。
⇒2012年2月28日 (火):硅石器時代とエルピーダの破綻/花づな列島復興のためのメモ(29)
急激な環境変化にのたうち回る巨大企業の姿は、約6,550万年前の白亜紀末期に絶滅したといわれる恐竜を連想せざるを得ない。
⇒2010年7月 4日 (日):「恐竜の脳」の話(7)恐竜とは何か
そして、白亜紀末を生き延びた種と絶滅した種には、それぞれ相応の原因があったと思われる。
結果論として考えても、諸説があるのだろうが。
⇒2010年7月 6日 (火):恐竜はなぜ絶滅したのか?/因果関係論(6)
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