公共事業とマニフェストのハードル/花づな列島復興のためのメモ(161)
2009年の政権交代のキャッチコピーは、「コンクリートから人へ」だった。
耳触りのいいフレーズである。
将来のエネルギー政策に関して「民意」を問う新しい試みとして、意見聴取会や討論型世論調査が行われた。
これ自体は悪いことではないが、民主党はその企画から(おそらく)、実施までを大手広告会社に丸投げしていた。
⇒2012年7月13日 (金):将来の原発比率と「討論型世論調査」/花づな列島復興のためのメモ(109)
⇒2012年7月15日 (日):エネルギー・環境会議の意見聴取会の実態/花づな列島復興のためのメモ(111)
その結果は、必ずしも政府・民主党の期待したようなものではなかった。
⇒2012年8月23日 (木):将来の原発比率に関する民意/花づな列島復興のためのメモ(134)
今にして思えば、マニフェストも大手広告会社に丸投げしていたのではなかろうか?
耳障りのいいキャッチコピーは、広告会社が最も得意とするところである。
「コンクリートから人へ」のコピーは何を訴求したのか?
自民党的政治を象徴する土木事業からの転換であろう。
その中心が「脱ダム」であり、シンボルが八ッ場ダムであろう。
⇒2012年10月20日 (土):象徴としての八ッ場ダム/花づな列島復興のためのメモ(153)
政権交代後の初の国土交通相の前原氏は、マニフェスト通りに「建設中止」を明言したが、ここでも「言うだけ番長」だったようである。
もちろん個別のダムについて、「費用対効果」が検証されているであろうが、「脱ダム」という雰囲気はすでにないと言っていいだろう。
そもそも「脱ダム」は長野県知事だった田中康夫氏が打ち出したものであるが、その時よりも後退しているのではないか?
野田首相は、「前に進むのか、後ろに戻るのか」とよく口にする。
衆議院の解散を受け、野田佳彦首相は2012年11月16日夕方首相官邸で記者会見を開いた。総選挙(12月4日告示、16日投開票)を1か月後に控え、論点を5つの政策分野で示し、「前に進むのか、後ろに戻るのか」と繰り返し訴えた。
http://www.j-cast.com/2012/11/16154335.html?p=all
もちろん一般論あるいはレトリックとしては、「後ろに戻る=後退」であろう。
しかし道を間違えた場合には、前に進むのではなく、後ろに戻るのが鉄則である。
空疎な演説はもはや誰の心にも響かない。
一方、自民党は、「国土強靱化基本法案」を用意している。
未曾有の震災を体験した現在、国土強靱化自体は必要であろう。
しかし、問題はその方法論である。
旧態依然としたコンクリート中心の土建的方法からの脱皮が求められよう。
⇒2011年10月29日 (土):猿橋の「用」と「美」と「レジリエンス」/花づな列島復興のためのメモ(10)
民主党は、党の方針、すなわち野田首相の考え方に同調しなければ公認できない、というハードルを設定した。
鳩山元首相が、このハードルを越えられないとして出馬を断念した。
⇒2012年11月23日 (金):民主党政権への挽歌/花づな列島復興のためのメモ(160)
民主集中制というシステムは、共産党などではお馴染みである。
それを突き詰めると、代表の独裁となる。
スターリン、毛沢東などの例を見るまでもなく、弊害も大きい。
野田首相が政治生命を賭けると言った消費増税法案には、景気条項(附則18条)が付いている。
「消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため」、「平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3パーセント程度かつ実質の経済成長率で2パーセント程度を目指した望ましい経済成長」と明記されている。
現下の経済状況では、達成できるとは思えないが・・・
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