放射性物質拡散予測地図をどう生かすか?
原子力規制委員会が原発事故時の放射性物質拡散予測地図を公表した。
避難の必要な高線量がどう拡散していくかをシミュレーションしたものである。
道府県が原子力防災の重点区域を設定する際に、参考資料として役立てることを目的としている。
ただ、予測には地形データを用いていないし、飛散する方向も放出開始時点の風向きが1週間続くと仮定するなど、実際に即した精度の改善が必要であるとされる。
ともあれ、シミュレーション結果が公表されたことは前進であろう。
問題は、運用である。
福島第一原発事故において、せっかく巨費を投じて製作された緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)が、肝心の時に有効に活用されなかった。
有効に活用されないばかりか、菅政権は、故意に隠蔽した疑いがある。
⇒2011年4月30日 (土):小佐古・内閣官房参与が辞任/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(19)
⇒2011年9月11日 (日):政府による「情報の隠蔽」は犯罪ではないのか
⇒2011年7月 5日 (火):官邸は誰の責任で情報を隠蔽したか?/原発事故の真相(4)
その検証は、まだ十分になされたということを聞かない。
⇒2012年5月29日 (火):依然として不明朗な「藪の中」/原発事故の真相(32)
シミュレーションをどう生かすのか?
静岡県には、浜岡原発がある。
事故後1週間の積算被ばく量が100mSvに達する地域と、30km圏(緊急防護区域)とがほぼ一致した。
静岡新聞121025
自治体が地域防災計画を作成するのは、30km圏とされている。
日本経済新聞121025
当然のことながら、30km圏と自治体の区分は異なっている。
浜岡原発の場合、焼津市、島田市、掛川市、磐田市等では、30kmの境界が市の内部にある。
実際問題として、30kmで線引きなどできないであろう。
また、規制委は、事故時の緊急モニタリングが重要だとしている。
福島の場合には、モニタリングポストが使えない箇所が多かった。
大規模地震の時に、機能しないでは意味がない。
せめて、地域防災計画が出揃うまでは、浜岡の再稼働はすべきではない。
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