野田政権の余命は?/花づな列島復興のためのメモ(155)
臨時国会が、昨日召集された。
しかし、野田首相の所信表明演説は参院で拒否され、衆院だけという異例の事態である。
現行憲法下では初めてのことだそうだ。
参院で、野田首相の問責決議が可決されているためだが、演説拒否というのは如何なものかと思う。
問責を受けた首相が新たな国会に臨むのも初めてのことだという。
過去に問責された福田、麻生両首相は、結果的に次の国会審議前に退陣している。
まあ、常識的には次の国会審議前に退陣を考えるのだろうが、衆院の不信任案とは違って法的な拘束力がない。
とすれば、演説拒否というのは、少なくとも法的には理がないだろう。
参院不要論が言われる。
私は2院制の方がベターだと思うが、演説を拒否するような参院はいらない、という声が聞こえるような気がする。
堂々と、審議の場で、野田政権の非を衝いた方がいいのではないか。
とはいえ、野田首相が延命を図る限り、政治空白は避けられないだろう。
政治生命をかけると言って、「近いうちの解散」を条件に、3党合意にこぎ着けたことに思いを致せば、解散先送りは、契約不履行というべきものだろう。
密室の中の約束であるが、自身が「重い」と言っている言葉である。
しかし、野田首相の演説は、滑舌はいいが内容がない。
⇒2012年6月29日 (金):今後予想される未来図/花づな列島復興のためのメモ(97)
「近いうち」をめぐって2ヵ月以上空白が続いている事態が、「近いうち」の言葉を裏切っている。
演説では滑舌も大事だが、内容の方がより重要であろう。
「あー、うー」と演説した故大平正芳首相が懐かしい。
衆院だけで行われた所信表明演説も、具体的な課題解決の方針が伝わってこないものと言わざるを得ないだろう。
「明日への責任」を繰り返したが、実現の具体策は示されていない。
野田首相の演説は、言語明瞭意味不明瞭の典型だろう。
意味不明瞭なのは、「近いうち」に象徴されるように、言葉の指示する内容が国民一般とかけ離れているからである。
そして、それを「したたかさ」と勘違いしている節がある。
自民党の谷垣禎一前総裁、公明党の山口那津男代表と交わした「近いうちに国民に信を問う」という約束を、首相は2カ月以上も実現していない。
「総裁が谷垣さんなら、必ず約束は実現しなければならなかったのだが…」
首相は最近、周囲にこうつぶやいた。安倍晋三総裁に代わり状況が変わったと考えているのだろう。
・・・・・・
「しかるべきときに、やるべきことをやった後に信を問う」
9月1日には記者団にこう語り、「近いうち」を後退させた。3日前の参院での首相問責決議に自民党が賛成したことで、谷垣氏との約束はほごになったという“本音”が口をついた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121013/plc12101301160002-n2.htm
まさか個人対個人の約束というわけではないだろう。
それに、公明党の山口代表の立場はどう考えているのだろうか。
口先だけではもはや乗り切れる状況ではない。
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