原爆と水爆/「同じ」と「違う」(52)
原発と原爆の異同についての私の理解は次の通りである。
・両者は、核分裂の連鎖反応を利用するという意味では「同じ」である。
・両者の「違い」は、核分裂反応の反応速度である。
・反応速度がコントロールできなくなったばあい、両者は「同じ」と考えるべきである。
⇒2011年9月20日 (火):原発と原爆/「同じ」と「違う」(32)
福島第一原発では、原因の如何は別として、原子炉のコントロールが不能になった。
したがって、福島で起きた事故は、原爆投下と「同じ」ことと考えるべきである。
事故の直接的な原因は、電源喪失であり、その原因が「想定外」の津波の発生であるにしても、原子炉の制御が不能になった段階で、原爆と同等になった。
それでは、水爆(水素爆弾)と原爆の異同は何か?
Wikipediaで水素爆弾の項を見ると、以下のように解説されている。
水素爆弾(すいそばくだん、英: hydrogen bomb、水爆)は、水素及びその放射性同位体の核融合反応を利用した核爆弾で、兵器としては核兵器の1種である。
原子爆弾を起爆装置として用い、この核分裂反応で発生する放射線と超高温、超高圧を利用して、水素の同位体の重水素や三重水素(トリチウム)の核融合反応を誘発し莫大なエネルギーを放出させる。高温による核融合反応(熱核反応)を起こすことから「熱核爆弾」や「熱核兵器」とも呼ばれる。一般に核出力は原爆をはるかに上回る。なお、中性子爆弾や3F爆弾も水爆の一形態である。
第二次世界大戦後から現在に至る原爆開発競争に参加した国の中でも、水素爆弾を兵器として実用化したのは国際連合の常任理事国であるアメリカ合衆国と旧ソビエト連邦(ロシア)、イギリス、中華人民共和国、フランスのみである。
つまり、原爆が核分裂反応によるエネルギーの放出を利用するのに対し、水爆は、核融合反応によるエネルギーの放出を利用する。
原爆(原子爆弾)のエネルギー源は、ウラン235やプルトニウムの核が分裂するときに生じる。
http://www.asahi-net.or.jp/~rt6k-okn/fusion.htm
それは有名なアインシュタインの次の公式で示される。
E=mc²
この公式は、質量とエネルギーが等価であることを示している。
水素の原子は1個の陽子と1個の電子からできている。
水素のなかには、中性子が1個存在する「重水素(D)」と、2個存在する「三重水素(T)」という同位体がある。
重水素や三重水素を反応させて、ヘリウムを生成させることが可能である。
http://www.asahi-net.or.jp/~rt6k-okn/fusion.htm
水素原子は1個の陽子しか持っていないため、核力(引力)が元素の中では最も小さく、核同士が融合し易い。
とはいえ、水素核が融合するためには、1億℃の温度または圧力を地球の大気圧の1千億倍にしなければならない。
太陽の中心部では、この高温・高圧の条件があり、核融合反応が生じている。
人為的にこの条件を作り出すために、核分裂反応から生じる高温・高圧を利用する。
核融合の平和的利用は21世紀後半になると予測されている。
http://www.asahi-net.or.jp/~rt6k-okn/fusion.htm
なお、福島第一で起きた水素爆発と水素爆弾は、もちろん全く別物である。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 藤井太洋『東京の子』/私撰アンソロジー(56)(2019.04.07)
- 暫時お休みします(2019.03.24)
- ココログの障害とその説明(2019.03.21)
- スキャンダラスな東京五輪/安部政権の命運(94)(2019.03.17)
- 野党は小異を捨てて大同団結すべし/安部政権の命運(84)(2019.03.05)
「思考技術」カテゴリの記事
- 際立つNHKの阿諛追従/安部政権の命運(93)(2019.03.16)
- 安倍トモ百田尚樹の『日本国紀』/安部政権の命運(95)(2019.03.18)
- 平成史の汚点としての森友事件/安部政権の命運(92)(2019.03.15)
- 横畠内閣法制局長官の不遜/安部政権の命運(91)(2019.03.12)
- 安倍首相の「法の支配」認識/安部政権の命運(89)(2019.03.10)
「「同じ」と「違う」」カテゴリの記事
- インテンシブとエクステンシブ/「同じ」と「違う」(106)(2017.09.15)
- 切れ者とキレる人/「同じ」と「違う」(105)(2017.08.17)
- 「戦闘」と「武力衝突」/「同じ」と「違う」(103)(2017.02.12)
- 「計画:PLAN」と「実行:DO」/「同じ」と「違う」(104)(2017.02.14)
- 不時着と墜落/「同じ」と「違う」(102)(2016.12.26)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント