米国対日司令塔の「原発ゼロ」批判/花づな列島復興のためのメモ(140)
今日(9月13日)の日本経済新聞に、米国戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・ハムレ所長が、日本政府の「2030年代に原発稼働ゼロを可能にする」という案に再考を求める寄稿をした、という記事が載っている。
日本経済新聞120913
日経新聞の記事からすると、論旨のポイントは次の2点である。
1.太陽光・風力では近代的な経済に必要なエネルギーを賄えない。
2.核不拡散・国家安全保障上の観点からも、日本は原子力国家であり続けるべきだ。
1.は、将来のエネルギー・ミックスをどう考えるか、という問題である。
そしてそれは、将来の社会・生活像をどう考えるか、という問題と不可分である。
政府が、意見聴取会や討論型世論調査で、特定の選択肢に誘導しようなどと考えずに、真摯に問題を深掘りしようとする姿勢であれば、もう少し議論は深まったかもしれない。
しかし、現状は生煮えのままであり、国民的合意が得られているとは言えない状態である。
2.は、私には論理の道筋が良く分からない。
ジョン・ハムレ氏の言葉を追ってみよう。
a.今後30年間で中国は75から125基の原子力発電所を建設する。
b.日本はこれまで、核不拡散問題で世界のリーダーであり続けた。
c.日本が脱原発依存ということになれば、日本は核不拡散に関する技術を失ってしまう。
d.日本は先進的な原発利用者として、他国に対して同じレベルの対応を求めていくべきだ。
e.日本は強固な規制権限の基盤を作り、安全な操業と国民の信頼を取り戻すべきだ。
私が良く理解できないのは、原発を基盤としていなければ、核不拡散のリーダーになれない、という点である。
日本が核不拡散の先頭に立つことは、唯一の被爆国というだけで十分ではないか。
原発大国であることが、核不拡散にとってマイナスではあれ、決してプラスには働かないであろう。
しかも、福島第一で世界史上未曽有の大事故を起こしてしまったことを踏まえれば、脱原発こそが核不拡散に適合している。
ジョン・ハムレ氏の寄稿の中の言葉で同意するのは以下のくだりである。
残念なことに、日本政府は商業用の原子力発電を適切に管理する構造を構築してこなかった。日本の(原子力)規制に関する権限基盤は脆弱で、原子力産業に安全基準を課すこともできなかった。
だからこそ、尋常でない自然災害が日本を襲った後、原子力の惨劇が生まれてしまった。多くの日本国民は今なお、日本が原子力規制に関する強固な体制を欠いたままであり、それゆえに原子力をこのまま放棄すべきだと感じている。
国会事故調の報告書で指摘されていることと同じであろう。
東京電力福島第1原発の事故を「人災」と断定した国会事故調の報告書は、規制当局と事業者の立場が逆転し、「原子力安全の監視・監督機能が崩壊した」ことを事故の根本的な原因と指摘。規制当局は規制の先送りを許し、東電など事業者の「虜」になっていたと厳しく批判した。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120705/dst12070521490019-n1.htm
CSISとは何か?
Wikipediaによる解説は以下の通り。
1962年にアーレイ・バークおよびデイヴィット・アブシャイア (David Abshire) の主導によって、ジョージタウン大学の付属研究機関として設立された。1987年、同大学から独立した研究機関となった。
2000年より同研究所所長CEOにはジョン・J・ヘイムリ (John Hamre) 元国防副長官、理事長は元上院議員で上院軍事委員会の民主党の重鎮サム・ナンが務めている。
イラク復興において、リポート「より賢い平和 (A Wiser Peace) 」を作成し、ラムズフェルド国防長官に提出した。
日本の首相小泉純一郎の次男小泉進次郎や浜田和幸や渡部 恒三の息子の渡部恒雄(49)などが一時籍を置いた。
対日謀略の指令塔という説がある。
以下のような指揮系統だという。
http://blog.goo.ne.jp/yampr7/e/36ff9392cc63d3631b4ee93750c21d8d
1)『米戦略国際問題研究所(CSIS)』の親玉はデビッド・ロックフェラー氏、その下にキッシンジャー氏とハーバード大学教授ジョセフ・ナイ氏 がいる
2)その下にリチャード・アーミテージ氏とCSIS所長のジョン・ハレム氏がいる
3)その下に米国務省のカート・キャンベル氏とマイケル・グリーン日本部長がいる
4)東京常駐は元海兵隊中将のジェームズ・R・ジョーンズ 前国家安全保障担当補佐官。この退役軍人が“小沢抹殺”の司令塔兼行動隊長で菅首相や仙谷官房長官をアゴで使う
5)日本側エージェントのボスが前原誠司でサブが長島昭久。渡部恒三はパシリ
どの程度の信憑性があるのか分からないが、納得できる部分がある。
それにしても、日米関係のキー・パーソンからも、「原子力規制に関する権限基盤が脆弱」という指摘を受けているにも拘わらず、原子力規制委の人事を国会に諮ろうともしない政府の姿勢はどうしたものか?
⇒2012年9月 6日 (木):火事場泥棒的に原子力規制委の人事を行おうとする野田政権/原発事故の真相(46)
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