「9・11」を迎えて/花づな列島復興のためのメモ(139)
上図は、会田誠氏の『紐育空爆之図』と題する作品である。
2001年の9月11日、紐育(ニューヨーク)はまさに空爆されたのだが、この作品は、1996年に描かれた。
したがって、「9・11」とはまったく関係が無い。
しかし、次のような短歌の作品は明らかに「9・11」をモチーフにしている。
紐育空爆之図の壮快よ、われらかく長きながく待ちゐき
大辻隆弘『デプス』
大江氏の作品は、空爆する側にシンパシーがあるが、その背景には、「アメリカ金融帝国」への異議申し立てのような気持ちがあるのではなかろうか。TVでリアルタイムに視聴したニューヨークのワールド・トレード・センター(WTC)へのテロ攻撃は、21世紀が容易ならざるものであることを予感させた。
あれから11年、テロの首謀者と目されていたウサマ・ビンラディンは殺されたが、問題の解決には程遠いと言わざるを得ない。
その映像は、夜の番組の途中、突然に映し出されたように記憶している。
WTCには友人の金融関係の会社が入っていたので、訪ねていったことがある。
また、私自身は大した役割をしなかったが、近くのオフィスを借りてJVで仕事をしたこともあった。
だから、WTCが崩れ落ちていく映像は、映画でも見ているような感覚であった。
アフガニスタンは今も遠い国であるが、多数の子供を含む自爆テロなどの犠牲者がいる。
それから10年半後の「3・11」。
やはりTVに映し出される津波の映像は、映画を見ているようであった。
しかし、紛れもなく、この日本で現実に起きていることであった。
それから1年半。
私もほんの一端を垣間見る機会を得た。
⇒2012年8月27日 (月):大川小学校の悲劇と避難誘導の難しさ/因果関係論(20)
もちろん身体不如意の老残の身であるから、具体的な復興作業に貢献することはできない。
しかし、何かのお役に立ちたいという気持ちは持っているつもりである。
復興はケースバイケースのようである。
すっかり復旧しているところもあれば、まだ津波の痕が生々しく残っているところもある。
もちろん、福島第一原発事故は「収束」には程遠い。
震災により自宅を離れざるを得なくなって、まだ家に帰れない人が34万人もいるという。
静岡県内に避難している人も千人以上の数に上る。
120911静岡新聞
私たちは、「ABCD=アメリカ、イギリス、中国、オランダ」を中心とする国々と、無謀としか考えられない戦争に踏み切り、当然のごとく負けた。
私は戦争の記憶はないが敗戦直後の食糧難の時代は覚えている。
そこから必死になって復興し、経済成長を遂げ、飽食の時代といわれるようになった。
まことに変化の大きな時代だったと思う。
しかし、ヒロシマ、ナガサキに加え、ビキニ環礁での原爆実験の被害まで受けているにも拘わらず、原発大国となって、エネルギー多消費社会を謳歌してきた。
やはり、そんなことではいけなかったのだと思う。
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