「火山の冬」と富士山噴火の可能性/花づな列島復興のためのメモ(147)
「火山の冬」という言葉がある。
火山の冬(かざんのふゆ、英: volcanic winter)とは、大火山の爆発的な噴火によって、火山灰や霧状の硫酸が太陽光を遮り、地球のアルベドを上昇させることによって温度が低下する現象のことである。長期間に及ぶ冷却効果は主に、大気上層部に構成されるエアロゾル中の硫黄化合物の増加が原因である。
Wikipedia
わが国でも、悲惨な天明の大飢饉は、浅間山の噴火が原因だといわれる。
⇒2009年2月 4日 (水):浅間山の癒しと脅威
⇒2009年10月11日 (日):八ツ場ダムの深層(1)天明3年の浅間山大噴火
⇒2009年10月12日 (月):八ツ場ダムの深層(2)天明という時代相
火山噴火の影響は、「想定外」の広がりと大きさを持つ。
1783年のアイスランドのラキ火山の噴火がフランス革命を引き起こしたともいわれる。
⇒2012年3月 9日 (金):餓死という壮絶な孤独(3)/花づな列島復興のためのメモ(34)
⇒2009年10月16日 (金):八ツ場ダムの深層(6)吾妻川の地政学
「花づな」と形容される日本列島は、火山列島でもある。
火山はしばしば大きな災厄をもたらすが、いっぽうで恵みの源泉でもある。
⇒2012年5月 8日 (火):火山活動との共生/花づな列島復興のためのメモ(62)
富士山噴火の可能性が話題になっている。
富士山麓に暮らす私としては、まさに他人事ではない。
⇒2012年1月31日 (火):活火山・富士山周辺で起きている地震
昨年3月11日の東日本大震災と4日後に静岡県東部で起きたマグニチュード(M)6・4の地震によって、富士山のマグマだまりに噴火を引き起こしかねないほどの大きな圧力がかかったことが防災科学技術研究所(茨城県つくば市)などのチームの研究で6日、分かった。
圧力の高まりだけが噴火の要因ではなく、現在のところ、噴火の兆候は観測されていない。ただ富士山の直近の噴火である1707年の宝永噴火で直前の宝永地震により富士山に加わった力より、今回の力は強く、チームは「地震から数年たってから噴火する可能性もあり警戒が必要」としている。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120906/dms1209061538023-n1.htm
富士山噴火の降灰は、富士山麓だけでなく、首都圏全域に及ぶと予想されている。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120910/dms1209101127002-n1.htm
私自身は、富士山噴火の結果、人生の終末を迎えたとしても本望だという意識もあるが、まだこれから長い人生を送る人たちにとってはそうも言っていられないだろう。
富士山よりも遙かに大きな規模のカルデラ火山が注目されているらしい。
たとえば、アメリカのイエローストンである。
60万年~80万年周期といわれるこの火山が最後に噴火してから、60万年が経過しているというのだ。
もっとも、60万年という時間に比べれば、人生の時間などは誤差のうちなので心配するのは杞憂というものだろう。
火山は地下のマグマが一定量たまると爆発する。
210万年前のイエローストンの噴火で噴出したマグマは2,500立方キロ。9万年前の阿蘇山噴火の10倍以上と推定されている。
いまこの規模の噴火が起きたらどうなるか?
東京新聞9月29日に、『地球を襲う「火山の冬」』という記事が載っている。
日本大学の高橋正樹教授(地質学)によれば、「急に氷河期になったようなものだ」。
つまり、硫酸を含んだガスが太陽光によって化学反応を起こし、硫酸エアロゾルに変わり、太陽光を反射するため、寒冷化する。
日本の気温が10℃下がるとどうなるか?
分かりやすくいえば、鹿児島が北海道のようになる。
国内のほとんどの地域では米作ができなくなるということだ。
有史以来、この規模の巨大噴火は起きていないというが、準じた噴火の例はある。
東京新聞120929
1815年のインドネシアのタンポラ火山の爆発は、翌年の異常気象を引き起こし、「夏の来ない」年となって大凶作になった。
そして、免疫力が低下した結果、コレラや発疹チフスが大流行した。
ラキ火山とフランス革命の関係も、規模はもう少し小さかったのだろうか、世界史を変える要因となった。
巨大噴火は、人類を滅亡させることにもなりかねない。
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