維新ブーム考/花づな列島復興のためのメモ(144)
民自両党の党首選が賑やかであるが、それぞれの関係者だけが盛り上がって、国民的関心は今ひとつといった感じである。
東日本大震災、とりわけ福島第一原発事故という歴史的事象を体験したというのに、旧態依然というか、変化の予感がしないのだ。
⇒2012年9月10日 (月):嘆くべきか、嗤うべきか、民自両党党首選の猿芝居
⇒2012年9月14日 (金)民自両党の党首選候補者/花づな列島復興のためのメモ(141)
これに比べて、「大阪維新の会」を率いる橋下徹大阪市長の勢いは確かに違うようだ。
「大阪維新の会」は国政に進出することを明確にし、政党要件を満たして新党「日本維新の会」に発展的に移行することを発表した。
閉塞状況をブレークスルーする力が、民自両党には感じられないのと対照的である。
い‐しん【維新】ヰ‥
[詩経[大雅、文王]「周旧邦と雖いえども、其の命維これ新たなり」]
①物事が改まって新しくなること。政治の体制が一新され改まること。
②明治維新のこと。
広辞苑第六版より引用
上記の説明にあるように、維新には、一般的な事象を示す①の意味と、特定の事象を指す②の意味とがある。
「日本維新の会」は、①の意味であろうが、多分に②を意識しているのではなかろうか。
現代の政治家が、高杉晋作や坂本龍馬のような維新の群像に自らを擬えたがる風潮があるからである。
たとえば、菅前首相が、政権を「奇兵隊内閣」と命名したいといった。
2011年1月12日 (水):出口の見えない菅政権と民主党解党という選択肢
⇒2011年6月 2日 (木):哀しき奇兵隊内閣の末路
このような風潮は、菅氏の例がそうであるというだけでなく、何となく胡散臭いものがある。
特に明治維新については『坂の上の雲』に代表される司馬史観の影響が、多くの人に刷り込まれている。
高い志を持った若者が、封建的な時代に風穴を開けた。上っていく坂の向こうには、輝く白い雲が浮かんでいる・・・。
30年ほど前に初めて鹿児島に行ったとき、西駅(現在の中央駅)近くの「若き薩摩の群像」を見て、予定している新規プロジェクトを精一杯やろうと奮い立った記憶がある。
http://washimo-web.jp/Trip/SatsumaStud/satsumastud.htm
しかし、明治維新にはこのような明るい面だけがあるわけではない。
激しい権力闘争という側面を見逃してはならないだろう。
明治維新は、徳川慶喜の大政奉還により成った。
幕末、ペリーの浦賀来航が1853年であり、大政奉還が1867年であるから、およそ15年間の間に情勢は大きく動いた。
その間、国論は尊皇攘夷と佐幕開国というコンセプトの間で触れた。
「攘夷」とは、外夷をうちはらうことであり、ペリーに代表される開国を求める勢力は、「外夷」と見なされていたのである。
それが最終的には、尊皇開国に落ち着いたのであって、現時点で幕末から明治維新期は大いに参考とすべきではあろう。
大政奉還が実現した背景を最もシンプルに表現すれば下図のようになる。
榎本秋『図解日本史』新人物往来社(1203)
薩長土の下級武士を中心とした動きは確かに心躍るものがあることは事実であるが、東北大震災を体験した現在、より気になるのは、会津などの奥羽越藩が新政府と戦った戊辰戦争である。
東北日本と西南日本の戦いでもあったと見ることができる。
東北の中央権力に「まつろわぬ伝統」といえようか。
同上
東北地方は、福島第一原発事故や青森県など、今後のエネルギー政策の焦点となる地域でもある。
従来は、矛盾を引き受けるという形で地域振興を図ってきたが、その矛盾が表面に露出したのが東日本大震災であった。
「日本維新の会」の、東北地方振興策に注目したい。
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