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2012年9月15日 (土)

「言うだけ」感を拭えない政府の脱原発政策/花づな列島復興のためのメモ(142)

政府が「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した。
脱原発を求める世論を受けて、従来の原発推進路線を転換し、原発ゼロ目標を初めて政府方針に明記した。
一歩前進と評価すべきであろうが、なにしろマニフェストをことごとく反古にしてきた政権である。
本気で「脱原発」に取り組もうとしているのか、疑問を感じざるを得ない。
とりあえず、「脱原発」のポーズはとりました、ということではなかろうか。
120915
東京120915

もちろん、「脱原発」を実現することは、容易ではないだろう。
いくつもの難関が待ち受けていると、素人でも思う。
ちなみにTVの討論番組では、自民党総裁選の5人の候補者がこぞって、「2030年代に原発稼働ゼロを可能にする」に×印を付けていた。
野党ばかりでなく、経済界等の手強い抵抗勢力を相手に、本気でブレークスルーしていく覚悟が伝わって来ないのだ。

先ず第一に、「2030年代に原発稼働ゼロを可能にする」は、意見聴取会や討論型世論調査の際に支持が高かった「2030年に原発ゼロ」とは明らかに異なる。
2030年と2030年代とでは、最大10年異なることになるし、2030年代の結果を検証できる関係閣僚がいるとは思えない。
仮に27年後のことを言っているとすれば、細野原発担当相でさえ70歳近いことになるが、私自身の経験からしても、40歳ぐらいの頃は70歳になったときのことなど、想像さえしたことがなかった。

しかし、「2030年に原発ゼロ」が非現実的である、という判断もあり得るとは思う。
だが、長期的に原発の稼働をゼロにするということなら、今できるところは着実に速やかに実行すべきだろう。
たとえば、大飯原発については再稼動の判断を考え直すべきだろう。
ピーク需要期を過ぎたのだから、需給不安説は説得力を持たない。
需要の少ない時期に、脱原発(原発ゼロ)の状態を試行すべきではないか。

第二に、核燃料サイクルの方向性である。
現状は、原発から出てくる使用済み燃料は、再処理して原発で燃料として再利用する計画であるが、その再利用サイクルが破綻もしくは未確立である。
再処理工場は、青森県六ケ所村にあるが、青森県は、脱原発の場合、使用済み燃料の引き取りを拒否する、としている。
⇒2012年9月 4日 (火):核廃棄物をどうするか?/花づな列島復興のためのメモ(137)
とりあえずは現状方針を継続するということだろうが、弥縫策に過ぎないことは間違いない。

第三に、原子力規制委員会の人事の問題である。
福島第一原発事故の教訓はたくさんあるが、「原子力規制に関する権限基盤が脆弱だった」という認識は、米国戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・ハムレ所長でさえ、指摘しているところである。
⇒2012年9月13日 (木):米国対日司令塔の「原発ゼロ」批判/花づな列島復興のためのメモ(140)
にもかかわらず、政府は原子力規制委の人事を国会に諮ろうともしないのだ。
⇒2012年9月 6日 (木):火事場泥棒的に原子力規制委の人事を行おうとする野田政権/原発事故の真相(46)

第四に、アメリカとの関係である。
アメリカは日本に、消費税増税、環太平洋連携協定(TPP)、原発維持を要求しているといわれる。
野田政権は何とかこの要求に応えようとしているが、消費税増税で全力を使い切ってしまったように見える。
原発に関しても、アメリカの原子力政策は、日本の技術抜きには考えられない。
長期的な日米関係を踏まえて、脱原発をどう具現化していくのか?

これらの課題・疑問に正面から向き合って、息の長い現実的な「脱原発」のロードマップを提示すべきだろう。

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