核廃棄物をどうするか?/花づな列島復興のためのメモ(137)
われわれの活動を制約するのは、資源とその利用結果としての廃棄物である。
資源制約は人類の歴史と共に古いが、廃棄物問題が顕在化してきたのは、この半世紀くらいのことと言ってよい。
大気汚染や水質汚染などの環境問題が大きな課題となった。
学生が何を専攻の志望とするかは多分に社会の影響を受ける。
私は、工学部の出身であるが、高度成長期にはごく自然な選択だったと思う。
工学部の中で、第二志望が衛生工学科だった。
もう少し社会性のある学生だったら第一志望としたかも知れない。
しかし第二志望でも、すなわちある程度成績を割り引いても、入れる可能性のある学科が衛生工学科だった。
原子力利用の場合も、資源問題と環境(廃棄物)問題の両面から考える必要がある。
現在、核燃料のリサイクルについては、次のような図式が想定されている。
再処理工場は、青森県六ケ所村にある。
青森県が、脱原発の場合、すなわち継続的なサイクル事業が想定されない事態の場合には、使用済み燃料の引き取りを拒否する、としている。
日本経済新聞120904
不要かつ危険なモノを預かれ、というのだから青森県の言い分も尤もである。
日経新聞の論調は、「だから脱原発は問題だ」ということに力点があるが、そもそも現行サイクル事業が破綻しているのである。
⇒2012年6月11日 (月):電源構成と核燃料サイクル/花づな列島復興のためのメモ(83)
したがって、現状では、「原発の稼働=高レベル放射性廃棄物の増大」である。
使用済み核燃料プールの容量はごく限られている。
数年で満杯になるという。
東京新聞120904
一方、福島第一原発事故で栃木県内で発生した「指定廃棄物」の最終処分場を、矢板市に建設するという案を政府が唐突に提示した。
もちろん交渉の仕方は難しいと思うが、事前の相談・根回しがまったく無いということでは、地元が拒否するというのも尤もであろう。
原発は、平常時のサイクルも、事故時の収束も完結していないのである。
「事故が収束した」などという表現は、絵空事というべきであろう。
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