地方都市から書店は消えていくのか?
地方都市における書店経営は苦しい。
要因はいろいろある。
先ず、需要そのものが減少しているだろう。
若年層を中心に、活字離れが言われて久しいが、出版物の出版部数は、90年代半ば以降漸減してきている。
http://research.goo.ne.jp/database/data/000624/
加えて、Amazonなどのネット通販が一般化した。
書籍自体は、どこで買っても無差別であるから、購入したい本が決まっていればネットで購入する方が利便性が高い。
書店の魅力の第一は品揃えであろう。
品揃えに関しては、ロングテールの言葉を持ち出すまでもなく、ネット書店の方が有利である。
街の本屋の魅力は、実際に手に持って確かめられることである。
内容の確認はもちろんだが、装幀などの醸し出す雰囲気は、ネットでは分からないこともある。
本好きの多くは、モノとして愛好する。
一種のフェティシズムの徒である。
しかし、手に持って確認できることは、書店側からすれば大きなリスク要因でもあるのだ。
本屋にとって最大の敵は、インターネットや衛星放送ではなく、万引きだという。
何冊分かの粗利が、1冊の万引きで吹っ飛ぶ。
利益なしには経営が成り立たない。
上記のような事情で、街の本屋の廃業が目立つ。
先日も閉店のお知らせの張り紙を見た。
私の知人も、大分前に文房具と兼業していた本屋を止めた。
とても割が合わないということだ。
今朝の東京新聞が1面トップで「増える 書店ゼロの街」という記事を掲載している。
東京新聞120812
街の本屋は、品揃えという点で大型書店に太刀打ちできない。
例外的なケースとしては、留萌市の「留萌ブックセンター」がある。
市民が積極的に誘致活動を行い、三省堂の支店が出店した。150坪の店に10万冊を置いているという。
かつて、街の映画館が次々と消えていった。
現在、シネコンというような形で、少しずつ復活してきている。
街の本屋も、単なるビジネスを超えた価値を提供する存在として、復活の日が来るのであろうか?
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