将来の原発比率に関する経団連の考え/花づな列島復興のためのメモ(129)
将来の原発比率について、さまざまな立場から意見が表明されている。
たとえば経団連は、政府の3つの選択肢について、、「いずれも実現可能性に乏しく経済への悪影響など問題が多い」として再考を求める意見書を発表している。
意見書は3つの選択肢は、経済成長率の前提を2010年代に実質1.1%、20年に0.8%としており、実質2%、名目3%を目指す政府の成長戦略と整合性がないと強調。省エネや再生可能エネルギーの導入目標も現行のエネルギー基本計画を上回り、実現可能性や対策が不透明だと指摘し、電気料金の上昇や雇用の減少などの悪影響が出ると批判した。
その上で原発を「エネルギー源のひとつとして維持すべきだ」と明記し、原発に対する信頼回復と安全性向上に努力する一方、省エネや再生エネの導入見通しを現実的なものに変更すべきだとして3つの選択肢の見直しを強く求めた。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120728/bsg1207280502002-n1.htm
経団連の8月13日付の「エネルギー・環境政策の選択肢等に関するアンケート結果」と題する文書を見てみよう。
政府の示した3つの選択肢について、各産業に及ぼす影響を調べたものである。
この結果概要を見ると、いずれのシナリオでも利益、生産、雇用、国内の設備投資、国際競争力を減少させる。
では、どのような代替案を考えているのか?
「こうすべきだ」という案は示されていない。
逆に問えば、原発比率を政府シナリオを越えて、たとえば40%とか50%にすれば、利益、生産、雇用、国内の設備投資、国際競争力は向上するという意見か?
どうもそうではないようである。
それに、もう一度原発事故を起こしたら、利益、生産、雇用、国内の設備投資、国際競争力のいずれも、壊滅的なダメージを受けるであろうという視点が欠けている。
世界有数の地震多発地帯に、原発はマッチするか?
シンプルに考えれば、答は自ずから定まる。
面倒な計量分析など要らないといいたい。
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