事故の損害賠償をしきれない装置は動かすな/原発事故の真相(43)
福島第一原発事故の損害賠償額はいくらに上るのか?
もちろん、被害の全容が把握されていない現時点では推測の域を出ない。
分かっているだけで、東電が被害者に支払う額は約2兆5千億円だという。
また、原子力委員会の試算では、損害額は5兆5千億円になるという。
電力会社の支払い能力の面からみるとどうか?
原子力損害賠償法の規定により、電力会社は、民間保険会社の保険に加入するか、保険金と同額を法務局に供託することになっている。
保険金額は原子力損害賠償法ができた1961年当時は約50億円だったが、漸増して現在は1箇所あたり1200億円である。
しかし、この保険の対象は運転ミスなどの人為的事故の場合に限られる。
地震や津波などの自然災害による事故の場合は、電力会社と国が契約している政府補償が適用される。
保険と政府補償は、適用されるのは二者択一で、福島第一原発事故の場合は政府補償の適用となった。
しかし、支払い上限額はやはり1200億円である。
東京新聞120820
仮に損害額が原子力委員会の試算通りだとして、1200億円は5兆5千億円に対して2.2%程度に過ぎない。
福島第一原発事故では、昨年8月急遽、原子力損害賠償支援機構法を成立させて、賠償資金を賄うこととした。
機構法はあくまで対症的なもので、根本的な措置とはいえない。
⇒2011年5月20日 (金):東電の賠償スキームをめぐって/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(33)
⇒2011年8月 3日 (水):形式的な法令遵守(コンプライアンス)だけでは問題を見逃す
国内の事故救済体制すら不十分なのに、ベトナムとの間で、賠償制度の整備に協力することで合意したと報じられた。
俗な言い方をすれば、「自分のケツも拭けないで・・・」という感じである。
損害額を賠償するに足る保険料はいくらになるのか?
その場合、原発のコストはどうなるのか?
さらに、廃炉と除染の費用はどうなのか?
肝心な点を開示しないまま、なし崩し的に再稼働が実施されていく。
こんな不条理が許されるはずがない。
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