経団連が消費税増税に賛成する理由/花づな列島復興のためのメモ(103)
経団連の米倉会長は、消費税増税に積極的な発言をしてきた。
たとえば、3党の修正協議が合意に達したときのコメントは次の通りである。
世界に類例を見ないスピードでわが国の高齢化が進展する中で、成長や雇用創出と両立する持続可能な社会保障の抜本改革は待ったなしである。今後も国民的な検討を深め、給付の効率化・重点化の一層の強化や財源構成の見直しを進めていただきたい。
http://www.keidanren.or.jp/stpeech/comment/2012/0615.html
また大飯原発の再稼動に関しては、以下のようなコメントを出している。
安全性の確保に向けた政府の努力と地元自治体の再稼働に対する理解の下での今回の決定を評価する。
原子力発電所の再稼働は、電力の安定供給と価格上昇リスクの抑制に寄与する。他の原子力発電所においても、安全性の確保を大前提に地元の理解を得ながら再稼働が進むことを期待する。
http://www.keidanren.or.jp/speech/comment/2012/0616.html
経団連は、野田応援団のようである。
⇒2012年6月28日 (木):戦い(消費増税法案、東電株主総会)済んで、日が暮れて/花づな列島復興のためのメモ(96)
最大の労働団体である連合も然りである。
民主党と自民党は、限りなく連立政権に近いのが実態である。
55年体制よりも、大政翼賛会に近い。
増税はGDPの縮小方向に作用すると思われるのに、経団連などの経済団体が増税に賛成するのはなぜだろうか?
⇒2012年6月23日 (土):消費税増税で税収は増えるのか?/花づな列島復興のためのメモ(91)
上記の修正協議に関するコメントでは、社会保障の抜本改革については触れているが、消費税増税については触れていない。
気になるので、「消費税×経団連」で検索してみると、以下のようなサイトがあった。
なぜ経団連は消費税増税に賛成なのか?
以下のようなことが書いてある。
経団連は企業側の利益追求団体である。
なぜ経団連は、売上減少が確実である増税に賛成するのか?
2000年頃までは、経団連は消費税の増税に反対の立場だった。
風向きが変わったのは、奥田碩が経団連の会長を務めていた2003年頃からである。
奥田はトヨタの社長~会長を歴任した人物である。
奥田は、国の財政健全化の為に消費税増税が必要だと唱える一方で、企業の国際競争力を増す為に法人税の減税が必要だと訴えた。
この二つの提言はセットで行われているが、法人税の減税が本来の目的で、その分の財源の穴埋めとして消費税の増税をしろと述べているのだ。
次に経団連の会長に就いたキャノン出身の御手洗冨士夫も、法人税減税と消費税の増税を訴えている。
日本の法人税率は、アメリカと同水準である。
カナダやフランスやドイツなども30%を超える税率であり、日本と大差がない。
ルクセンブルグやシンガポールのような「タックスヘイブン」と比べるのは意味がない。
上記が概略であるが、そもそも経団連とはどのような団体か?
日本経済団体連合会は、わが国の代表的な企業1,285社、製造業やサービス業等の主要な業種別全国団体127団体、地方別経済団体47団体などから構成されています(いずれも2012年3月29日現在)。
http://www.keidanren.or.jp/profile/pro001.html
すなわち、経団連は、大企業の集まりである。
トヨタやキャノンや米倉会長の出身企業の住友化学は、いずれも大企業である。
しかし、国全体の中では、限られた部分に過ぎない。
大部分の中小・零細企業は、消費税増税により、さらに厳しい活動を強いられるだろう。
民主党は、「国民の生活が第一」と唱えて政権の座についたはずであるが、見事に財界と同じスタンスになってしまっている。
大企業が、法人税を下げろ(もっと儲けさせろ)というのは分からなくもないが、強欲もいい加減にしないとバチがあたる。
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- 北朝鮮情勢と拉致問題のアメリカ頼み/世界史の動向(59)(2018.04.23)
- 防衛庁の不祥事と安倍首相の改憲意欲/ABEXIT(11)(2018.04.22)
- 柳瀬審議官はどこまで抵抗するか?/ABEXIT(10)(2018.04.21)
- 絶望の財務省&相/ABEXIT(9)(2018.04.20)
- 国際標準を逸脱した安倍政権のセクハラ認識/ABEXIT(8)(2018.04.19)
「思考技術」カテゴリの記事
- 北朝鮮情勢と拉致問題のアメリカ頼み/世界史の動向(59)(2018.04.23)
- 防衛庁の不祥事と安倍首相の改憲意欲/ABEXIT(11)(2018.04.22)
- 柳瀬審議官はどこまで抵抗するか?/ABEXIT(10)(2018.04.21)
- 絶望の財務省&相/ABEXIT(9)(2018.04.20)
- 国際標準を逸脱した安倍政権のセクハラ認識/ABEXIT(8)(2018.04.19)
「花づな列島復興のためのメモ」カテゴリの記事
- 公明党の存在理由/花づな列島復興のためのメモ(336)(2014.06.29)
- 2014年W杯敗退の教訓/花づな列島復興のためのメモ(335)(2014.06.28)
- 「失言」体質と自民党の病理/花づな列島復興のためのメモ(334)(2014.06.26)
- ホンネの表出としての失言/花づな列島復興のためのメモ(333)(2014.06.23)
- 品位を欠く政治家にレッドカードを!/花づな列島復興のためのメモ(332)(2014.06.20)
コメント