原因を「想定外の津波」に限定していいか?/原発事故の真相(40)
国会事故調の報告書で気になることの1つは、事故の直接的な原因についての説明である。
今まで、事故の直接的な原因は、「津波」であるといわれてきた。
しかし、報告書は次のように書いている(ダイジェスト版)。
本事故の推移と直接関係する重要な機器・配管類のほとんど、がこの先何年も実際に立ち入ってつぶさに検証することのできない原子炉建屋及び原子炉格納容器内部にあるためである。
しかし東電は、事故の主因を早々と津波とし、・・・・・・また政府もIAEAに提出した事故報告書に同趣旨のことを記した。
・・・・・・
事故の主因を津波のみに限定すべきでない理由として、スクラム(原子炉緊急停止)後に最大の揺れが到達したこと、・・・・・・
当委員会は、事故の直接的原因について、「安全上重要な機器の地震による損傷はないとは確定的には言えない」との結論に達した。しかし未解明な部分が残っており、これについて引き続き第三者による検証が行われることを期待する。
重要な機器・配管類の損壊が、津波ではなく地震により起きたのではないか、という推測はこれまでにもないわけではない。
たとえば、西村肇さんは、水素爆発の原因となった炉の水位低下が、津波ではなく地震で起きた、と推測している。
⇒2011年6月23日 (木):西村肇さんの水素爆発に至る過程の推算/原発事故の真相(2)
もし、重要な機器・配管類の損壊が、津波ではなく地震により起きたとすれば、浜岡原発等でいくら津波対策を講じたとしても、不十分である。
問題は、揺れ、ということになる。
大飯原発や志賀原発の敷地内の活断層の有無が問題になっている。
⇒2012年4月28日 (土):活断層の上の原発/花づな列島復興のためのメモ(57)
⇒2012年7月 2日 (月):「国民安全の日」に大飯原発を再起動させる無神経/花づな列島復興のためのメモ(100)
⇒2012年7月19日 (木):福島の再稼動も目論んでいるのか?/原発事故の真相(39)
活断層であれば、そもそも立地不適であり、廃炉は不可避である。
しかし、再調査の結論が出るまでの間、大飯原発の稼働は止めないらしい。
立地不適の可能性があるというのに、稼働を継続させようという論理が分からない。
稼働中か否かは、実質的に危険の度合いに大きな違いはないという意見も聞く。
だから、危険の可能性があっても、とりあえずは使った方がいいということか?
何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は「自然災害」ではなくあきらかに「人災」である。
国会事故調のこの言葉など、眼中にないのだろう。
われわれは、恐ろしい国に住んでいるものだと改めて思う。
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