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2012年7月30日 (月)

脳疾患が労災と認められた判例/闘病記・中間報告(53)/因果関係論(17)

高血圧等の基礎疾患があるばあい、脳梗塞などの脳血管障害を発症するリスクが大きい。
脳血管障害を実際に発症した場合、業務の過重負荷が「相当因果関係あり」と認定されるのは、かなり難しいのではないかと想定される。
たまたま知人の法律事務所で「判例ジャーナルNo.1367」(2012.5.15)を眺めていたら、「高血圧症の基礎疾患のある地方公務員のくも膜下出血の発症について公務起因性が認められた事例」の解説が載っていた。

事案の概要は以下の通りである。
公立小学校の教員が授業終了直後、気分が悪くなって保健室で休んでいた。
容態が急変したので県立病院に救急搬送され、検査をしたら、くも膜下出血であると診断された。
入院加療しているが、後遺症が残った。
地方公務員災害補償基金に公務災害認定を請求したが、脳動脈瘤の形成は先天的原因(家族歴)又は後天的原因(高血圧症)によるものであり、破裂しやすい状態となっていたものが自然的経過において増悪し、発症したもので、公務起因性は認められないとした。

一般に、労災が認められる条件は下図のようである。
Photo_3
http://www.nenkin-support.com/rousai02.html

ここで、過重労働の影響は、下図のようである。
Photo_4
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/special/115/

つまり、おおまかな傾向はあるが、せいぜい蓋然性が認められるということである。
疾病の発症には、多様な要因が関係している。
そのどれが主因であるかを見極めるのは困難であろう。
Photo_2
http://lifestyle-disease.jp/

判例では、公務による負荷が基礎疾患を自然の経過を超えて増悪させ、発症に至らせたと認められたときに、相当因果関係を肯定することができる、と解している。
本件の争点を具体的に整理すると、以下のようである。
1.公務起因性の判断基準
2.原告の公務の過重性
3.公務以外の本件疾病発症に対する危険因子の有無

判決は、原告の本件疾病の発症は公務に起因すると認められる、とした。
その理由は以下の通りである。
a.原告は、くも膜下出血の最大の危険因子である高血圧症であったが、食事療法や運動療法を実施していたことにより、発症の直前期には基本的に血圧はコントロールされていた。
b.発症の直前期に、高度な疲労を来すような過重な公務があった。
c.過重な公務負担が、原告の高血圧症を自然経過を超えて増悪させたから発症したと認められる。
d.すなわち、本件疾病と原告公務の間には相当因果関係が認められる。

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