枝野経産相の責任を問う/花づな列島復興のためのメモ(112)
憲政史上初めて国会に設けられた国会事故調は、事故を「人災」と規定した。
この言葉は重い。
枝野経産相は、「3・11」当時、官房長官として官邸の顔だった。
震災発生当初、不眠不休のようなマスコミへの露出が目立った。
ネット上で「枝野寝ろ#edano_nero」というタグが頻用されたという。
私はこういうタグの存在を、人を介して知ったが、何となく違和感があった。
枝野氏といえば、放射能のリスクについて、「直ちに健康に被害が出るレベルではない」と言うような言い回しを多用していた。
⇒2011年3月20日 (日):福島第1原発事故と放射線量の用語について
⇒2011年3月24日 (木):安全基準の信憑性について
言語明瞭意味不明瞭というか、後に東大の安富歩教授により「東大話法」と名付けられたものの典型の1つであろう。
⇒2012年3月29日 (木):2号機内部の内視鏡映像/原発事故の真相(23)
⇒2012年5月28日 (月):国会事故調への期待/原発事故の真相(31)
⇒2011年9月10日 (土):「閣内てんでんこ」の野田ドジョウ政権と言葉の力
枝野氏は弁護士だったので、失言の心配が小さいという点がポイントだったといわれる。
筆者は「鉢呂前大臣は記者クラブの言葉狩りで辞職した。歴代、幾人もの政治家が言葉狩りで失脚している。言葉狩りが続くと政治家が国民にメッセージを発することさえできなくなるのではないか?」と質問した。
枝野氏は「前大臣のことを私が言及できる立場にない」と再びかわした。法廷で鍛えているだけあってスキがない。だが唯それだけだ。何も心に響かないのである。
原子力行政は官僚、マスコミ、財界、労働組合と刺し違えるくらいの気構えがなければ、従来の推進行政から転換できない。率直に言って枝野大臣には期待できない。
脱原発の大臣ではない枝野氏を迎えた記者クラブは、柔らかい質問に終始した。鉢呂前大臣の辞任会見で鬼の首でも取ったようにヤクザ言葉で答を迫っていた記者も、この日は無言だった。
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-818.html
枝野氏は、言葉の応答は巧みである。
しかし、その言葉は、「心に響かない」。
「原子力行政は官僚、マスコミ、財界、労働組合と刺し違えるくらいの気構え」が必要だ、ということは、国会事故調の報告書を拾い読みしただけでも分かる。
枝野氏に、その気構えはあるか?
残念ながら、「No!」と言わざるを得ない。
経産相として、大飯原発再稼動の決断をした。
国会事故調の報告書でも、「情報の開示」に問題があったことが指摘されている。
にもかかわらず、野田内閣は、関係4閣僚だけで、その審議の過程や判断の根拠等を明確にしないまま、再稼動を決定した。
なぜか、国会事故調の報告書が出ないうちに。
枝野氏は、政府のエネルギー・環境会議の副議長である。
聴取会等のばで国民の声を直接聞く最高責任者と思われる。
にもかかわらず、予め予定されていた議事運営だけ済ませると、直ちに閉会した。
とても「熟議を尽くす」態度とは言えないだろう。
「枝野寝ろ#edano_nero」は、枝野氏の体調を慮って使われたが、現在は「仕事をするな」と解した方がよさそうである。
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