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2012年7月 9日 (月)

天孫降臨の高千穂峰/やまとの謎(66)

「週刊朝日」に、足立倫行氏が『古事記を歩く』という連載を載せている。
120713日号の第3回は、『天孫降臨した古代日向「もう一つの顔」』である。
足立氏によれば、日向に降臨した天皇家の最初の祖先たち(日向三代)の神話は、南方系の海に関わるものが多い。

記紀の神話の中で、日向の神話は以下のような性格を持っているとされる。

 日本神話の中心は古事記・日本書紀にみえる神話である。この2つの書の神話は必ずしも同じではないが、全体としては1つの筋をもっていて、日本国と皇室の創生の物語が中心となっている。その物語の舞台は3つある。日向と大和、そして出雲である。
 出雲の場合は大方が独立した物語で展開する。それに対して、日向と大和の場合は、天・地・海の神の世界から日向へ、日向から大和へと連続した物語として展開する。
 このように2つの書は、内容上は、大きくは「神の世界の物語」から「日向での神と人との物語」そして「日向から大和の人」の物語へと展開する。
 なかでも注目されるのは、日向を舞台とした「神」の世界から「神と人」の世界として展開し、それは「日向三代神話」とよばれている。
 それはアマツカミ(天神)「ニニギノミコト」の御代の
  1「天孫降臨」
  2「コノハナノサクヤビメの結婚」
  3「火の中の出産」
 同「ホホデミノミコト」の御代の
  4「海幸・山幸」
  5「海宮遊行」
 同「ウガヤフキアエズノミコト」の御代の
  6「ウガヤフキアエズの誕生」
 それに神武天皇の
  7「神武東征(東行)」
 以上7つの物語が主たる内容になっている。そしてその物語の展開は、アマツカミ(天神)とその子孫がクニツカミ(地神)のヒメ神と、さらにはワタツミノカミ(海神)のヒメ神と結婚し、人皇であるカムヤマトイワレビコノミコトが誕生するという構成になっている。これは、アマツカミ(天神)によるクニツカミ(地神)とワタツミノカミ(海神)の統合の上に人皇初代が生み出されたという古代の人々の考えが表わされていて、これが日向を舞台としている神話の特色である。
 なぜ古代国家のなかでも、都から遠くはなれた僻遠の地にある日向が、これらの物語の舞台になったのであろうか。それは一口でいえば、この物語が創りだされる時代に、日向が朝廷と深いかかわりを持っていて、日向を無視できない事情があり、また物語の展開の上で最もふさわしい土地とみられる要素があったことが考えられる。歴代天皇にかかわる日向の女性が物語のなかにしばしば登場するのもそれらを示唆しているものと思われる。

http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/chiiki/seikatu/miyazaki101/shinwa_densho/outline.html

Photo左図は、「神々の系譜」である。
(「CARTA12年新春号」学研パブリッシング(1112))

日向三代は、日本神話において、神から人への移行という重要な位置を占めることになる。
その重要な舞台が、なぜ日向という場所かについては、「日向をお無視できない事情があるから」と説明されている。
その事情とは何か?

宮崎県には、高千穂という地名が2カ所ある。
1つは宮崎県北部の高千穂町である。高千穂峡で有名である。
近くに高千穂神社があり、天孫降臨の地としての有力候補である。

高千穂神社については、白洲信哉『白洲正子の宿題-「日本の神」とは何か』世界文化社(0710)で、「天孫降臨-宮崎の神楽を歩く」で触れられているように、神楽で有名である。
上掲書において、白州氏は次のように書いている。

降臨した場所については諸説あるし、肝要なのはその真偽より、微かな風景の記憶を確たるものにしたかった。また冬になると夜な夜などこかの集落で、神楽を舞っていることにも強く惹きつけられた。

高千穂町には、天孫降臨を連想させる雰囲気が残っている。
もう1つは、宮崎・鹿児島の県境の霧島連峰の高千穂峰である。
近くには、霧島神宮がある。
こちらも、天孫降臨に相応しい雰囲気を備えている。
高千穂峰の頂上には、「天の逆鉾」もある。

東日本大震災の発災によって忘れ去られたようになっているが、新燃岳に隣接している。
火山活動は継続しており、入山禁止になっている。
足立氏は、日向三代の内容からして、天孫降臨の「日向の高千穂のくじふる嶺」は、霧島の方だろうという。

私は、ついこの間、鹿児島大学病院霧島リハビリテーションセンターに入院していたが、この天孫降臨の高千穂峰に至近のところであった。
⇒2012年4月19日 (木):入院しました/闘病記・中間報告(42))
霧島市のサイトには、次のような説明がある。

 はるか昔、神々がこの世を治めていたという神話の時代がありました。神々が天上界の天の浮橋から下の世界をのぞくと、霧にけむる海のなかに島のようにみえるものがあります。神々は一本の鉾を取り出し、その島にしるしをつけました。それが霧島山の名の由来だといわれています。その時、神々が逆さに落とした鉾は、見事に山の絶頂に突き刺さりました。今も高千穂の山頂に残る天の逆鉾は、その時の鉾だといわれています。
http://www.city-kirishima.jp/modules/page059/index.php?id=10

入院中の日曜日に、陣中見舞いに来てくれた知人たちとドライブに出かけたとき、この山を近くで眺める機会があった。
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『古事記』1300年という節目の年に、偶然が重なって高千穂峰を眺める機会を持ち得たのだった。

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