« 開示する情報を暗号化しようとする愚/花づな列島復興のためのメモ(101) | トップページ | 経団連が消費税増税に賛成する理由/花づな列島復興のためのメモ(103) »

2012年7月 4日 (水)

政党の実態は政党政治の建前と整合しているか?/花づな列島復興のためのメモ(102)

民主党が分裂した。
その経緯を見聞していると、今の日本に「政党政治」という言葉がが当てはまるのだろうか、という疑問が湧いてくる。
政党政治とは、以下のようなしくみである。

複数の政党を中心に行われる政治。議院内閣制下においては、選挙によって多数を得た政党の党首が首班指名を受けて政府を組織する。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%AF%C5%DE%C0%AF%BC%A3

現在の政治が、複数の政党を中心に行われていることは間違いがない。
問題は、政党の実態と、議院内閣制の前提となっている選挙制度が、整合しているかどうかである。
政党については以下のように説明されている。

共通の政治的主張や目的を掲げ、政策の実現と政権の獲得を目指して行動する集団。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%AF%C5%DE

今回の分裂劇で明らかになったことは、民主党が上記で規定されるような政党ではなかった、ということである。
政権の獲得を目指して行動してきたとはいえても、「共通の政治的主張や目的を掲げ、政策の実現」は目指していなかった。
一般に、「共通の政治的主張や目的」を表した文書を綱領というが、民主党には綱領が定められていない。
⇒2012年6月17日 (日):政党のアイデンティティを徴表するもの/花づな列島復興のためのメモ(87)

綱領がないとすれば、それに代わるものとして機能すると考えられるのは政権公約(マニフェスト)であろう。
今回の分裂は、まさにマニフェストの扱いをめぐるものだった。
たとえ小沢氏が政局本位に動いているかのように見えたとしても、少なくとも建前的にはマニフェストに対する態度が分岐点であった。

マスメディアは、一部の例外を除き、小沢氏たちを「造反」という表現で報じている。
しかし、国民に対して造反しているのは、はたしてどちらであろうか。
6月29日の東京新聞社説は、「分裂騒ぎの民主 国民への造反者は誰か」と題している。

 小沢一郎民主党元代表が反対し、撤回を求めた消費税増税法案。野田佳彦首相は「造反」議員らの厳正な処分を表明したが、公約破りは首相の方だ。どちらが国民に対する造反かを見極めたい。
 二〇〇九年衆院選マニフェストを反故(ほご)にした首相が悪いのか、実現できない公約を作った小沢氏の責任がより重いのか。
 民主党内ばかりか自民、公明両党からも厳しい処分を求める声が相次ぐ小沢氏の方が分は悪そうだが、公約に期待して民主党に政権を託した有権者は、野田氏の方にこそ問題ありと言いたいのではなかろうか。
 有権者は「生活が第一」「官僚主導から政治主導へ」「税金の無駄遣い根絶」「緊密で対等な日米関係」など、自公時代とは違う政権の実現を目指して票を投じた。
 もちろんそれらは難題だ。官僚機構や既得権益層の厚い岩盤を穿(うが)つのは容易でない。だからこそ政権交代という権力構造の歴史的変化に実現を託したのではないか。
 民主党議員の多くは、それらの実現は難しいと言うが、どこまで死力を尽くしたのか。抵抗が強いが故に早々に諦め、増税路線になびいたと疑われても仕方がない。
 できない約束を作った方が悪いという指摘もある。実現困難だと決め付けるのは早計だが、仮にできない約束だとしても、それを掲げて選挙に勝ったのではないか。
 実現に努力するのは当然だし、できないと考えるなら、作成時に疑義を申し出るべきだった。納得できないのなら民主党以外から立候補すべきではなかったか。
 公約破りの消費税増税を正当化するのは信義に反する。

私は、上記趣旨にagreeである。
これに対し、朝日新聞などは、「できない約束を作った方が悪い」ということだ。
⇒2012年6月28日 (木):戦い(消費増税法案、東電株主総会)済んで、日が暮れて/花づな列島復興のためのメモ(96)
まあ朝日のような考えもあり得るのだろうが、天下の朝日新聞の社説とは思えない。

小沢氏らの行動を政局の思惑が主因とする見方がある。
今までの印象からして、確かにそう捉えられても仕方がない面はあるだろう。
特に、「マニフェスト違反」をいうならば、もっと早く声を上げるべきだ、という指摘とか、彼が幹事長時代にもマニフェストを破ったなどの指摘はその通りであろう。
しかし、マニフェスト違反といっても、おのずから軽重がある。
毛沢東の『矛盾論』の用語を借りれば、主要矛盾と従属矛盾である。

政党の内部に主要矛盾を抱えたまま、政権交代を目指して民主党は誕生した。
民主党の歴史的役割は終わった。

|

« 開示する情報を暗号化しようとする愚/花づな列島復興のためのメモ(101) | トップページ | 経団連が消費税増税に賛成する理由/花づな列島復興のためのメモ(103) »

ニュース」カテゴリの記事

思考技術」カテゴリの記事

花づな列島復興のためのメモ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/395349/46188138

この記事へのトラックバック一覧です: 政党の実態は政党政治の建前と整合しているか?/花づな列島復興のためのメモ(102):

« 開示する情報を暗号化しようとする愚/花づな列島復興のためのメモ(101) | トップページ | 経団連が消費税増税に賛成する理由/花づな列島復興のためのメモ(103) »