戦い(消費増税法案、東電株主総会)済んで、日が暮れて/花づな列島復興のためのメモ(96)
最近の朝日新聞には、よく驚かされる。
今朝(6月28日)の社説は、次のように始まる。
マニフェストについて民主党が非難されるべきなのは「約束を果たさなかったから」ではない。「果たせない約束をしたから」である。
http://www.asahi.com/paper/editorial20120628.html#Edit1
気の利いたレトリックのつもりのようだが、典型的な詭弁である。
よく言われるように、政治が結果責任だとしたら、そしてその通りだと思うから、もちろん「約束を果たさなかったから」という理由で非難されるべきである。
その原因が、「果たせない約束をしたから」であろうと、他の理由であろうと、非難されるべきであることに変わりはない。
朝日社説のいうところでは、マニフェストに増税を書かなかったのは、当時の代表の小沢氏であり、野田総理等は責めを負う筋合いではない、ということのようだ。
だが、野田首相に「約束を果たせ」と言いつのる小沢氏らは財源の裏付けのない「果たせない約束」をつくった責任をどう考えるのか。
同上
あたかも、野田氏が小沢氏の犠牲者だ、と言っているようである。
開いた口が塞がらないとはこのことだろう。
野田氏が、政権交代選挙で、「(マニフェストに)書いてあることは命懸けて実行する」と演説していた映像は有名である。
http://www.youtube.com/watch?v=y-oG4PEPeGo
寡聞にして、野田総理が、あの演説は間違いでした、と詫びたということは聞かない。
まあ、それくらいの鉄面皮でないと、民主党の中でしたたかに代表の座を得ることはできなかったということだろうが。
企業で考えてみると分かりやすいだろう。
経営計画が達成できなかった場合、その責任は現社長にはなく、計画策定時の社長が負うべきだ、というのが朝日新聞の論理である。
朝日新聞とは対照的に、北海道新聞は次のように書いている。
3党が一体改革関連法案の修正案を共同提出してから採決まではわずか6日だった。3党を合わせれば過半数は十分確保できるという「数の論理」で少数の意見を切り捨てるような政治は民主的とはいえない。
首相は国会答弁で3党連合について「選挙があっても、政権交代があっても、国民のために責任ある政党がしっかり合意をしていこうという趣旨だ」と次期衆院選後もこの枠組みを維持する考えを示した。
次の選挙で有権者がどのような意思表示をするかは分からない。今から選挙後の枠組みについて言及するのは早すぎる。
・・・・・・
09年衆院選で「マニフェストに書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらない」と言ったのは当時民主党幹事長代理の野田氏だ。「一体改革」はその逆だ。
国会論戦では「いま消費税率を上げなくても国際的信任は失わない」「増税しても税収増にはつながらない」と疑問が提起されていた。
首相はこれに正面から答えず「先送りしたらこの国は持たない」と強引に押し通した。明確な理由を示さず、国民の不安をあおって法案を通すやり方は納得できない。
国論を二分するテーマがあれば議論を尽くしてまとめていくのが政治のあるべき姿だ。首相の手法はあまりに一方に肩入れし、もう一方に対する配慮が足りない。首相は謙虚に足元を見つめ直す必要がある。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/383139.html
朝日新聞ともあろうものが、小沢憎しのあまり、冷静さを失っているとしか思えない。
この演説の中で、野田氏は、「消費税1%分は2兆5千億円です。12兆6千億円ということは、消費税5%分ということです。消費税5%分のみなさんの税金に、天下り法人がぶら下がっている」と定量的な数値を挙げて説明している。
朝日新聞は、もう一度上記のYouTubeをしっかり見たらいい。
そして、野田政権が、天下り法人を極限まで減らしたという事実を示すべきだ。
そうでなければ、自民と同じ穴に落ち込んでいる野田政権と変わりがないではないか。
野田総理によって、旗幟を色分けする軸が用意された。
つまり、消費税を今上げるべきか否か、今後原発利用を推進すべきか否か。
この座標軸を用いれば、4つの立ち位置が明確になる。
さしあたって、各政党は自党のポジショニングをしてみたらどうか?
とりあえずはっきりしているのは、日本共産党である。
民主党が政権交代時の期待された姿から変質し、交代前の与党と区別が付けがたくなっている以上、なるべく早く総選挙を行うべきだろう。
定数が違憲状態だから、というのは自らの不作為を棚に上げたとしか言いようがない。
次の総選挙の選択肢はどうなるのか?
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