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2012年6月27日 (水)

「昔陸軍、今〇〇」/花づな列島復興のためのメモ(95)

東電などの電力会社の株主総会が一斉に行われた。
ひと頃に比べると集中度合いは減っているが、電力会社は日程を横並びにした。
集中することにより、1社への注目を分散させることが狙いであろう。
総会では、東京都などの株主提案はすべて否決された。

菅前首相が、国会事故調査委員会の参考人聴取において、「原子力ムラは戦前の軍部と同じ」と語ったことは記憶に新しい。
「軍部と同じ」といえば、自分は免責されると思っているようだ。
菅氏には最高責任者だったという自覚がないらしい。

それはともかく、かつて軍部が「統帥権」を楯に、他からの批判を封殺していたのは歴史的事実である。
統帥権とは、大日本帝国憲法下における軍隊を指揮監督する最高指揮権のことである。
ロンドン海軍軍縮条約に反対した海軍軍令部長加藤寛治大将らは、統帥権を拡大解釈した。
すなわち、兵力量の決定も統帥権に関係するとして、浜口雄幸内閣が海軍軍令部の意に反して軍縮条約を締結したのは、統帥権の独立を犯したものだとして攻撃した。
以後、日本の政党政治は弱体化し、軍部が暴走を始めた。

大日本帝国憲法とは異なり、自衛隊の最高指揮者は総理大臣、すなわち事故当時は菅氏であった。
菅氏にその自覚があったかどうかは別として。

軍部でも、陸軍がより横暴だったというのが通念になっている。
そのため、「昔陸軍、今〇〇」という言い方がされる。
「昔陸軍、今東電」、「昔陸軍、今霞ヶ関」・・・・・・。
労働運動が戦闘力を持っていた頃は、「昔陸軍、今総評」という言葉もあった。
後身の連合は、民主党の支援部隊として、「消費税増税に反対するなら応援しない」などと自ら恫喝する立場にまわっているが。

東電の株主総会を伝えるニュースで感じるのは、確かに「昔陸軍、今東電」である。
株主からの提案に、結局耳を貸すことはなかった。
猪瀬東京都副知事が、「電気料金の根拠を情報開示することを定款に付加せよ」と提案したが、否決された。
また、関電の株主総会で、橋下大阪市長が、「国策として、原発ゼロということになったとき、関電の経営は立ちゆかなくなるのでは・・・・・・」とリスクに関する質問したことには、答がなかった。

同じような光景は、消費税増税をめぐる民主党の決定手続きにおいてもみられた。
議論が終わっていないのに、スケジュールの都合で「打ち切り」を宣した前原政調会長。
偽メール事件の失態を教訓として生かすかと思っていたが、これではなあ、という感じである。
前原氏や岡田氏が中間派に「賛成するように」と電話したことが、反発を増幅したともいわれる。

反骨の外交官こと天木直人氏のブログに以下のようなことがかいてある。

 三党合意の有効期限はいつまでなのか、解散・総選挙後には政界再編が予想され、三党合意をした政党さえ存続しているか不透明な中で、その合意が選挙後も有効であるはずがないと思うが、と阿部知子議員は問い質した。
 それに答えて野田首相は何と言ったか。
 消費税増税は、党の存続を超えた重要な政策であり、解散・総選挙を経てもなお有効だ、と明言したのである。
 もはや戦争でさえも起こしかねないほどの傲岸不遜な答弁を繰り返している野田首相だが、さすがにこの発言にはあきれ果てる。
http://www.amakiblog.com/archives/2012/06/25/#002305

「消費税増税は、党の存続を超えた重要な政策であり、解散・総選挙を経てもなお有効だ」というのは、統帥権を振りかざす軍部を彷彿とさせるものだろう。

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