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2012年6月11日 (月)

電源構成と核燃料サイクル/花づな列島復興のためのメモ(83)

2030年の電源構成をどう考えるか?
現行のエネルギー基本計画では、2030年に原発の比率が約45%である。
いま考えれば、よくそんな想定をしてきたか、と思うが、後知恵で批判する気はない。

将来のエネルギー問題はさまざまな機関で検討されている。
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http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120531/232772/?P=2&ST=rebuild

焦点の原発比率の問題にしても、核燃料サイクルをどうするかについて、議論が深まっているとは言えない。
核燃料サイクルは、再処理工場で使用済み核燃料から燃え残ったプルトニウムなどを抽出して再利用し、高速増殖炉で使うのが最終目標となっている。
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 井上氏は、「原発埋蔵金」が進める「核燃料サイクル」の破綻ぶりについて、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場、プルサーマル計画、高速増殖炉「もんじゅ」の実態を示して追及。枝野経産相は、再処理工場は18回も完成期日を先のばしにしたと説明し、本格稼働した場合に生じる高レベル放射性廃棄物の最終処分場を受け入れる自治体は「ありません」と述べ、破綻を認めました。
 中川正春文科相は、もんじゅは16年間で運転したのはわずか250日しかなく、維持費だけで1日4000万円かかることを明らかにしました。
 井上氏は「とてつもない無駄遣いだ。中止を決断し、推進費用を事故対策に回せ」と追及。野田佳彦首相は、「核燃料サイクルについては今後の原子力政策の見直しの中でしっかり議論する。原子力周りのお金と制度は仕分けの対象となっている。その議論を踏まえ対応する」と答えました。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-11-17/2011111701_01_1.html

リサイクルが破綻しているのならどういう案が考えられるか。
徳島新聞5月24日付社説は次のように論じている。

 核燃料サイクル政策の要である青森県六ケ所村の再処理工場も、福井県敦賀市の高速増殖炉原型炉もんじゅも、トラブル続きで実用化のめどが立っていない。使用済み核燃料の全量再処理を目指した現行の原子力政策には、そもそも無理があったと言わざるを得ない。
 さらに、小委員会の検証作業では他の二つの処理方法と比べて最もコストがかかることも判明した。
 こうしたことから「再利用」路線は、技術的にも経済的にも継続させる根拠が見いだせなくなっている。定期検査で停止している原発の再稼働はもとより、新設計画もままならない現状を踏まえれば、従来政策の見直しは自明の理といえる。
 これに対し、将来の原発ゼロも見据えた場合は「地中廃棄」が有力な選択肢になる。小委員会の総合評価では、最終処分までに要する費用が最も安いとされた。
 ただ、現行政策からの全面転換となる「地中廃棄」処理に切り替える場合は、使用済み核燃料を最終処分する技術の確立と処分場の確保が欠かせない。核燃料を一定期間保管する中間貯蔵施設も必要になる。「地中廃棄」の行く手には極めて厳しい課題が待ち受けている。
 青森県は、核燃料サイクル政策の推進を前提として再処理工場を受け入れている。方針を全面転換した際の地元反発は必至で、最悪の場合は使用済み核燃料が行き場を失う恐れもある。「地中廃棄」を選択するのであれば、政府は最終処分に向けた具体策や工程表を示さなければならない。
 このため小委員会では、今後の政策決定に柔軟性が持てる「再利用と地中廃棄の併存」への支持が最多だったという。とはいえ、「併存」は使用済み核燃料の扱いを曖昧にする選択肢だけに、政策決定そのものを2~5年先送りする「留保」の考え方とともに、国民の理解を得られるのかどうか見通せない。
 政府は、使い道が決まらないまま保有している再処理後のプルトニウムについても明確な方針を示すべきである。国際社会から無用な疑念を持たれないよう、核兵器数千発分ともいわれる保有量を減らすことに全力を挙げなければならない。

http://www.topics.or.jp/editorial/news/2012/05/news_13378212013.html

冷静になって考えてみれば、核燃料サイクルが困難あるいは破綻しているのなら、原発を動かすという選択肢は基本的にない、と考えるべきではなかろうか。
明確な結論に絞りきれずに、いくつかの選択肢を提示することは、本来有識者としての期待に反する。
シンプルに考えれば、原発を柱にした生活・生産は、少なくとも現段階ではあり得ないのだ。

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