福島原発事故「収束」宣言と消費税/花づな列島復興のためのメモ(90)
野田首相が出席したG20首脳会議で、行動計画に日本の消費税増税が明記されたという。
環境保護と経済成長の両立や、雇用の創出、食料安全保障などについて協議する。会議は同日午後(同20日朝)、首脳宣言を採択して閉幕する。
首脳宣言に併せて採択されるロスカボス行動計画には、昨年の仏カンヌ・サミットに続き、日本の財政再建の取り組みが盛り込まれる。2015年10月までに消費税率を10%に引き上げる方針を明記する。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120620-00000008-yom-bus_all
どこかで見聞したような構図だ。
そう、昨年12月の福島原発事故「収束」宣言である。
私は、この「宣言」は、国内外の世論をミスリードするものであると思った。
⇒2011年12月17日 (土):フクシマは「収束」したのか?/原発事故の真相(14)
なぜ、この時点で「収束」を、「冷温停止」ではなくて、冷温停止「状態」などという言い方までして、宣言したか?
その後、この時点でならなければならなかったことの理由が、就任早々の国連演説のせいであったことが分かった。
⇒2012年3月28日 (水):冷温停止の大本営発表/原発事故の真相(22)
今西憲之+週刊朝日取材班『福島原発の真実 最高幹部の独白』朝日新聞出版(1203)などを読めば、福島原発事故がとても「収束」などといえる状態ではないことが理解できる。
実際、現場に突きつけられた危機的状況は、何も変わっていなかった。この宣言後も、フクイチでは、汚染水の浄化システムの配管で水漏れが相次ぐなど不安定な状態が続いた。・・・・・・
消費税増税も、国際公約だから、という理由でこのまま強行するのであろうか?
民主党も手続き的に、党内了承を取り付けたということになったらしい。
⇒2012年6月20日 (水):民主主義を葬った民主党/花づな列島復興のためのメモ(89)
琉球新報社説(120618)が次のように書いている。
何のための政権交代だったのか。それを思えば嘆息が漏れる。社会保障と税の一体改革関連法案の修正協議で民主、自民、公明3党が合意した。内容をみると、民主党の政権公約の理念・哲学に関する部分は後退一色だ。
単なる増税案との印象が強い。はっきり決めたのは消費増税の方策だけで、社会保障についてはあいまい、後退、棚上げの連続だ。これで「一体改革」とは、詐称ではないか。
・・・・・・
税収増を図るにしても、格差社会が進む中、なぜ逆進性の強い消費税を引き上げるのか。なぜ高額所得者への所得税や資産課税の強化ではないのか。こうした疑問を払拭(ふっしょく)しないまま、3党は法案を採決してはならない。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-192697-storytopic-11.html
まったく、「何のための政権交代だったのか」である。
解散して民意を問うべきだと考えるが、選挙制度が違憲状態のままでは解散できないという意見がある。
民主党の藤井裕久税制調査会長は18日、都内で開かれたシンポジウムに出席し、衆院解散・総選挙について「今は違憲状態だ。解散を決めるのは野田佳彦首相だが、『違憲状態の選挙はありえない』と野田さんに言っている」と述べ、最高裁が違憲状態と判断した現行制度の「一票の格差」を是正しない限りは行えないとの考えを改めて指摘した。
http://sankei.jp.msn.com/smp/politics/news/120618/stt12061820000005-s.htm
違憲状態を放置しておくのはまさに「不作為」そのものであろう。
直近の国政選挙である2010年の参院選で、民主党は惨敗しているのである。
⇒2010年7月12日 (月):日本の政治はどうなるのだろうか?
違憲との判断があったならば、何を置いてもその解消に努めるべきだろう。
その後、東日本大震災という国難的事態が発生したことを理由にして、意見解消のための手立ては行っていない。
一方では、とりあえず消費税率は上げ、原発は再稼動させるという。
国難への対応が第一優先であるが、火事場泥棒のように、重要政策を決定していいはずがない。
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