節電の夏とグリーンデバイス/花づな列島復興のためのメモ(71)
去年の夏は、福島原発事故の影響で、国民の間で広く節電対策がとられた。
ゴーヤや朝顔で緑のカーテンを設えた家屋も数多かった。
⇒2011年10月13日 (木):節電の夏と琉球朝顔の緑のカーテン
今年は「原発ゼロ」ということもあって、需給は一層厳しくなるものと予想されている。
このため、政府は節電の要請に必死だ。
野田政権が今年夏の電力需給対策をまとめた。すべての原発が再稼働していないことを前提に、7月2日から9月28日にかけて全国的な節電を要請。電力が最も足りなくなる見込みの関西電力管内は15%の節電を求める方針だ。想定外の電力不足を避けるため、携帯電話の緊急速報メールなどで電気機器の使用停止も呼びかける。
http://www.asahi.com/politics/update/0518/TKY201205180001.html
需給バランスといっても、問題になるのは総量ではなくて、需要のピーク時である。
何を節電し、何の供給は生かすべきか?
一律何%節電とか、一斉に計画停電というのではいかにも無策であろう。
同じ電力でも、必需的な電力も奢侈的な電力もある。
いかにして必需的な電力を供給するか、そのために奢侈的な電力消費を抑制するかに知恵を絞るべきだろう。
政府・民主党は、「原発ゼロ」をあってはならない異常事態と考えているようだ。
⇒2012年5月 5日 (土):原発ゼロをどう考えるか?/花づな列島復興のためのメモ(60)
しかし、他方では「脱原発依存」も唱えている。
もちろん、短期的な目標と長期的な目標は異なってもいいだろう。
しかし、短期と長期の関係は分かりやすく説明すべきだ。
そもそも、政府が示したように、 原発が運転開始40年で原則廃炉とする方針とすれば、稼働中の原発も逐次廃炉になっていく。
今の情勢で、原発の新規建設に同意する自治体はないであろうから、40年以内には「原発ゼロ」の時期が来ることになる。
原発の「寿命」については、例外的に60年まで認める考えも出されたが、もはや原発は基幹エネルギー源としては考えられないのではないか。
とすれば、いまの「原発ゼロ」の状態を、未来に向かう一里塚と考えるべきではないのか。
⇒2012年5月13日 (日):原発ゼロをどう考えるか?②/花づな列島復興のためのメモ(66)
しかし、いずれにせよ節電は重要になる。
どうせ節電するなら、知恵のない節電よりも賢い節電で行きたい。
知恵のない節電の典型例は、計画停電による強制的な節電である。
賢い節電に関連する用語として、グリーンデバイスがある。
グリーンデバイスとは創エネ、蓄エネ、省エネに役立つデバイス・技術の総称だ。太陽電池やリチウムイオン二次電池、パワー半導体、発光ダイオード(LED)照明をはじめ、白物家電の運転を監視・制御するセンサーや液晶パネル向けバックライトの効率を向上する集積回路(IC)などその領域は幅広い。
http://www.nikkan.co.jp/adv/gyoukai/2010/100329a.html
先日、静岡のローカル局で、グリーンデバイスに関連する新技術開発に成功した企業が紹介された。
グリーンデバイスの代表例であるLED照明は高い成長性が予測されている。
LED照明の明るさを増すのには、高出力化が必要であるが、高出力にすると発熱のため、劣化が促進され、LED照明の大きな利点である長寿命が損なわれる。
寿命が長いことは、特に街路灯やトンネル内の照明など、メンテナンス費用が高い用途では大きなメリットである。
高出力と長寿命という、一般には相反する要求をどう解決するか?
そのkeyは、熱拡散という概念である。
熱は温度差に比例して逃げる。
しかし、LED照明では、高温にならないで熱がどんどん逃げて欲しい。
熱拡散率の高い材料が求められるというわけである。
⇒2009年8月26日 (水):熱と温度 その3.熱伝導率と熱拡散率/「同じ」と「違う」(5)
⇒2009年8月27日 (木):熱と温度 その4.熱伝導率と熱拡散率(続)/「同じ」と「違う」(6)
開発に成功した新素材は、ALC400というアルミニウムとグラファイトの複合材であり、開発した企業は、株式会社エー・エム・テクノロジーという。
グリーンデバイス関連市場は、高い成長性が期待される分野である。
メリハリのある成長政策の目玉になるのではないか。
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