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2012年5月31日 (木)

野田首相に理はあるか/花づな列島復興のためのメモ(75)

今朝の日本経済新聞の1面は以下のようであった。
1205312
つまり野田首相は、重大な判断を2つしたことが報じられている。
1つは、小沢元代表との会談を踏まえ、消費増税のために自民と連携を模索することであり、もう1つは、大飯原発再稼働を近日中に決定することである。
この2つの判断は、理に適ったものであろうか?

私は2つ共に、まったく理がないものと考える。

消費増税のために自民と連携?
小沢元代表との会談に、首相は「乾坤一擲」という表現で臨んだ。
元代表とはいえ、自分と同じ政党の人間に会って話をするのに、「乾坤一擲」とはずいぶん大げさではないかと思う。
しかし、それは「政治生命を賭ける」と言ってもいる消費税のことがテーマだとすれば、まあ決意表明と考えよう。

しかし、会談後にNHKテレビで小沢氏も言っていたように、その前にやるべきことがある、というのが多くの国民の意見ではないか。
もちろん、政治家は自分の信念に忠実に、国民の反対が強いことも実施しなければならないこともあろう。
野田首相は、政権交代の総選挙の時からそういう持論であったのだろうか?

だとすれば、マニフェストに反対の意見だったということで8ある。
一部に、決定(法案成立)と実施(施行)は別だから(マニフェスト違反にならない)という詭弁を唱える向きもあるようだが、本気でそう主張するのだろうか?

前原政調会長などは、党で決定したことだから(党員ならば従え)、と言っているが、それならマニフェストはどうなのか?
産経新聞「主張」は、「野田首相 公約撤回なぜ打ち出さぬ」として、次のように言う。

 よりよい社会保障と税の一体改革を実現するには、首相は自民党との法案修正協議の進展に全力を挙げるほかない。前提となるのは、民主党マニフェスト(政権公約)の抜本的な見直しだ。
 その点、会談で首相の姿勢は曖昧だった。政策転換を明確に打ち出して協議への道を切り開くしかないのに、「乾坤一擲(けんこんいってき)」の必死さはうかがえなかった。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120531/plc12053103130006-n1.htm

党として、見解が変わったというのなら、改めて総選挙をするのがスジではないか。

もう1つの大飯原発の再稼働問題についてはどうか?
国会事故調で、菅前首相の事情聴取が終わったばかりである。
しかし、事故の真相がクリヤになったとはとても言えない状況である。
⇒2012年5月29日 (火):依然として不明朗な「藪の中」/原発事故の真相(32)

国会事故調も政府事故調も最終報告が済んでいない。
今、再稼働に踏み切るということは、福島の事故の教訓は、とりあえず無視することと同義である。
大飯原発再稼働に際して、枝野経産相は、「安全基準におおむね適合している」という言い方をした。
安全基準そのものがお手盛りであることへの批判は置いておくとしても、安全性の問題は、「おおむね」では困る。
枝野氏は、福島の事故対応をめぐっても、未だ総括が済んでいない。

関西広域連合も再稼働容認と報道されているが、それだから「GO」というわけにはいかない。
野田首相は、「私の責任で判断」というが、野田首相の政治生命では償いきれない問題である。

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