国会事故調への期待/原発事故の真相(31)
国会事故調(東京電力福島原子力発電所事故調査委員会)が重要な局面を迎えている。
海江田万里経産相(当時、以下同じ)、枝野幸男官房長官に続き、菅直人総理を参考人として質疑が行われた。
質疑の様子はUSTREAMで中継されていたが、現時点では詳細を把握できていない。
しかし、事故当時の政府首脳が、どう思考し、どう行動したか検証されるはずである。
福島原発事故は、世界史的な事故であり、事件である。
政府事故調、民間事故調と合わせ、国会事故調が補完し合って後世に伝えるべき記録が作成されることになろう。
国会事故調の目的は、同サイトによれば以下の通りである。
http://www.naiic.jp/
今の時点で、1つの焦点となっているのは、東京電力が現場を放棄して撤退したい意向を申し出たか否かである。
この件に関して、関係者の言い分は、大きくあるいは微妙に異なっている。
枝野氏は、27日の委員会に参考人として出席し、以下のように発言した。
東京電力が福島第一からの「全員撤退」を政府に打診したとされる問題について、清水正孝社長(当時)との電話の内容から「部分的に残す趣旨でなかったのは明確」だと述べた。当時の海江田万里経産相らも同様に説明する一方、東電の勝俣恒久会長らは一部退避だったとしており、官邸と東電の見解の対立があらためて浮かんだ。
枝野氏によると、3号機で水素爆発があった後の昨年三月十五日未明、清水氏から枝野氏に電話がかかった。枝野氏が「そんなこと(全員撤退)をしたらどんどん事態が悪化して、止めようがなくなる」と言うと、清水氏は口ごもり、反論できなかったという。
枝野氏はこのやりとりから、清水氏が全員撤退を訴えたことは明らかだと話した。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012052890070002.html
この他に、SPEEDIの公表遅れが問題視されているが、枝野氏は次のように発言している。
政府の情報発信が十分ではなかったことは認めた。だが、住民への避難指示に関する政府側と専門家の協議内容など核心部分では「記憶にない」と発言したり、釈明が前面に出たりした。調査委員会の委員からは枝野氏への不信をあからさまにする発言も飛び出すなど、改めて官邸の対応に問題があったことを浮き彫りにした。
・・・・・・
聴取で焦点となったのは、避難指示が拡大されていった点と、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の公表が遅れた点などだ。
特に、枝野氏が避難指示を発表する際「念のため」という言葉を連発したことについて、被災者代表の委員は「大臣の言葉で右に行き左に行きだった」と述べ「念のために」の避難が今も続いていることへの不満をぶちまけた。枝野氏は謝罪する一方で「ベストを尽くしたつもりだ。今戻ってもあまり違った対応にはならないと思う」と強弁した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/print/120527/plc12052722010010-c.htm
さすがに弁護士である。
ここでも「東大話法」が駆使されているようである。
⇒2012年3月29日 (木):2号機内部の内視鏡映像/原発事故の真相(23)
国会事故調の委員長は黒川清氏である。
「AERA」120604日号に、同氏の紹介記事が載っている。
同記事によれば、日本学術会議の会長として、諸改革を実行した硬骨漢である。
「藪の中」のような事故の原因をできる限り明らかにして貰いたい。
それにしても、国会事故調は6月に最終報告を出す予定だという。
原発再稼働を議論するのはそれからでも遅くはない。
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