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2012年5月29日 (火)

依然として不明朗な「藪の中」/原発事故の真相(32)

国会事故調査委員会における菅前総理の説明は納得的であったか?
残念ながら「No!」といわざるを得ないだろう。
今日の東京新聞社説は、次のように疑問を表明している。

 原発事故で官邸の対応が後手後手に回ったのはなぜか。国会の事故調査委員会で、菅直人前首相らの説明には納得がいかない。非常時に何があったか、「藪(やぶ)の中」で終わらせぬ真相解明が必要だ。
 「総理に十分な説明ができない原子力安全・保安院が問題だ」と菅氏は強調した。原子炉への海水注入をめぐる混乱も、東京電力側の人物の問題だと批判した。一方、自分の言動については、反省の言葉はさっぱりない…。これが菅氏の姿勢だった。
 だが、原発の炉心溶融(メルトダウン)についてはどうか。東電が事実を認めたのは二カ月も遅れた。過酷事故を示す最も重要な情報だ。枝野幸男前官房長官は「炉心が溶けていることは大前提だった」と述べた。
 確かに水素爆発の翌日に、メルトダウンの可能性を記者会見で触れたが、「メルトダウンに至る状況が続いているわけではない」とも当時は語っていた。政権中枢は事実を把握しながら、あいまいな公表を続けてきたことにならないか。重大な背信行為である。
 放射能の拡散予測システム(SPEEDI)についてもそうだ。担当者が試算をしたのに、長く公表されなかった。枝野氏は「公表しろと指示した」と言うが、なぜ実行されなかったのか。速やかに緊急事態宣言を出さなかった点も、菅氏は「支障はなかった」と言う。菅氏や枝野氏の発言は、どこか言い逃れに聞こえる。
・・・・・・
 東電が事故直後に職員の「全員撤退」を政府に打診した点は、言い分が全く食い違う。
 菅氏や枝野氏が「打診があった」と言うのに、東電側は「事実はない」と主張する。撤退していれば、想像を超える爆発が起きた可能性もある。
 民間事故調などと異なり、国会事故調は国政調査権を持つ。その強い権限をフルに活用して、六月中にまとめる報告に向け、徹底的に検証してほしい。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012052902000107.html

私は、菅氏や枝野氏の発言に、大きな違和感を覚える。
肝心な点は曖昧にして、何とか時間切れを狙っているように思える。
とても真摯な態度とはいえないだろう。

東電の「全面撤退」問題のように、事故から1年2カ月経つというのに、未だ「藪の中」状態である。
国政調査権があるのなら、関係者に記録を提出させるなど、その権限を有効に使って、真相に迫って欲しい。
メルトダウンの事実やSPEEDIの開示の問題など、一般国民の目から見ると、意図的に情報隠蔽を図ったようにしか見えない。
⇒2011年5月 6日 (金):政府による情報の隠蔽と「見える化」/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(22)
⇒2011年5月26日 (木):情報を隠蔽していた(ウソをついていた)のは誰か?/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(36)
⇒2011年7月 5日 (火):官邸は誰の責任で情報を隠蔽したか?/原発事故の真相(4)
⇒2011年9月11日 (日):政府による「情報の隠蔽」は犯罪ではないのか

菅氏はまた、批判を浴びている事故翌朝の現地視察についても、次のように強弁している。

総理自ら視察することについて、菅氏の最も身近にいた枝野氏は反対したといいます。
 「政治的批判は免れませんと。そういう観点からはお勧めできませんという趣旨のことは、総理には進言いたしました」(当時 官房長官 枝野幸男 経産相、27日)
 しかし、菅氏は、現地を視察したことでメリットがあったと強調しました。
 「現場の皆さんの考え方、見方を知るうえでは極めて大きなこと。顔と名前が一致したことは極めて大きなことだった」(菅直人 前首相)
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20120528-00000047-jnn-pol

私も一般的には、現場で実情を確認することは重要であると思う。
しかし、それも時と場合によりけりである。
委員の1人が、現場の吉田所長などの状況を、「墜落しかかっている飛行機のコックピット」に喩えていた。
そういう状況で、パイロットの「顔と名前が一致」することと、パイロットの作業が阻害されることの軽重は、いうまでもない。
⇒2011年3月14日 (月):現認する情報と俯瞰する情報

菅氏は、東電に乗り込ん際の叱責を、「夫婦ケンカの時よりも小さい声のつもり」などと寒い表現で笑いを取ろうとしたりもした。
福島の人間ならずとも怒りがこみ上げてくる。
もう一度お遍路の旅に出て、じっくりと反省すべきではないか。

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