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2012年5月17日 (木)

いま消費増税をすべきなのか?/花づな列島復興のためのメモ(68)

経済政策には、全員一致した解というものはないのだろう。
野田首相が「政治生命を賭ける」という決意を示している消費税増税についても、賛否両論あって、私のような素人にはどちらが正しいのか分からない。
今日から、衆院の社会保障と税の一体改革特別委員会が実質審議に入った。

 首相は法案について6月21日までの会期内成立に政治生命を懸けるとしており、民主党は6月上旬の採決を目指す。だが自民、公明両党は参院で問責決議を受けた田中直紀防衛相と前田武志国土交通相の早期更迭を求めて対決姿勢を強めており、首相は2閣僚をめぐり厳しい判断を迫られる。
 首相は特別委で、社会保障の現状を「最大の課題で待ったなしだ。2014年には団塊の世代が全て年金受給段階に入ることを念頭に対応しなければならない」と説明、「社会保障の充実、安定化を早くやらなければならない」と述べた。欧州債務危機についても「対岸の火事ではない」と指摘し、財政健全化の重要性を訴えた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201205170115.html

庶民感覚でいえば、「社会保障と税の一体改革」とはいうものの、力点は消費増税に置かれていて、社会保障改革の全体像が良く分からない。
もっと重視すべきは、2009年総選挙との整合性である。
議論は1年前からどれだけ深化したのか?
⇒2011年2月10日 (木):マニフェストを履行するための消費税増税?

消費増税については、国民新党代表だった亀井静香氏が「連立政権合意に反している」として反対の姿勢を明らかにし、それが原因で国民新党の多数派から党を追われることになった。
民主党元代表の小沢一郎氏も、国民との約束違反ということで反対の構えだ。
⇒2012年3月31日 (土):政治家の信義とは?/花づな列島復興のためのメモ(43)

その小沢氏は、冤罪とも言うべき裁判が続行されることになり、政治的な発言力を大幅に制約されている。
⇒2012年5月11日 (金):小沢裁判控訴の狙いは?/花づな列島復興のためのメモ(64)
⇒2012年5月14日 (月):虚偽報告書による権力の組織犯罪/花づな列島復興のためのメモ(67)
うがった見方をすれば、外堀は着々と埋められているということだろう。

しかし、本当に、いま政治生命を賭けて取り組むべきは、消費増税か?
田中秀征氏は、「消費税増税に6つの異議あり」として以下を挙げている。

(1)日本経済、現状の景気は、5%の消費税率アップに耐えられない。
(2)行政改革、「税金の無駄使いの排除」が後回しにされている。
(3)何のための増税なのかが明確でない。
(4)今回の消費税増税は明らかに民主党の公約違反。しかも最重要公約の違反である。
(5)先に総選挙で民意を問うべきではないか。
(6)なぜ大震災対応に総力で取り組まなければならない今、消費税増税を最優先の課題としているのか。

私には、田中氏の意見がもっともなように思える。
特に、終わりの部分の以下の言葉を、野田首相はよく考えてみるべきだろう。

 この際、政治生命を賭けるべきは消費税増税ではない。大震災と原発事故への対応である。
 復旧、復興、被災者への支援の迅速化。原発災害の拡大阻止。新しい原発の安全基準、エネルギー基本計画の策定。この夏の電力需給はどうなるか。
 復興庁の行政も軌道に乗らないし、規制庁は発足すらしていない。このような事態は昨年から懸念されていたことだ。
 こんな国家的危機の真っ只中にあって、政権が消費税増税に血眼になることが許されるのか。諸外国の人たちからすると理解に苦しむだろうし、何よりも後世の人たちからは強い怒りを買うことになる。
 野田首相は、自己実現、功名心、政局などの余計なことを度外視して、歴史の大局に立つべきである。

山崎元氏も「それでも、消費税率を「今」上げることに反対する理由」として、以下の5項を挙げている。

反対理由1:増税は緊急性が薄い
反対理由2:デフレ対策を優先すべき
反対理由3:手順が悪い
反対理由4:徴税の改善が先ではないか
反対理由5:約束は、約束だ

山崎氏も多くの国民の疑問点を掬い上げている。
山崎氏は以下のように結んでいる。

 筆者の反対論拠のうち、「反対理由1:増税は緊急性が薄い」と、この「反対理由5:約束は、約束だ」だけで、今国会での消費税率引き上げ法案に反対する十分な根拠だ。
 政治の議論としては、本来これが常識だろう。これを脇に置いて、経済的な得失から消費税を論じている時点で、我が国は政治的に病んでいる。国民もメディア含めて、我が国の政治が劣化している証拠である。

喫緊の日本の課題は何なのか?
2009年政権交代のマニフェストを反故にしてもいいのか?
われわれも、妙にオトナになって、「理解ある態度」をとるべきではないだろう。

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