暴走が止まらない民主党政権/花づな列島復興のためのメモ(50)
現在の議院内閣制では、政府は衆議院の信認によって成立する。
直近の2009年の衆議院選挙によって圧倒的多数派となった民主党は、あと1年4カ月ばかりは政権党の権利を有しているといえる。
しかし、直近の国政選挙である参議院選挙や各種の地方選挙では、ほとんど全敗ともいうべき状態である。
はたして、民主党政権に正当性はあると言えるのだろうか?
政府は、9日の関係閣僚会合で、関西電力大飯原発について、暫定的な安全基準に「おおむね適合している」と判断し、安全性を確認した。
この「安全性の確認」には、何重もの欺瞞があると考える。
先ず第一に、安全基準についてである。
本来、科学的な基準であるはずであるにもかかわらず、たった4人の政治家が、密室の談合ともいうべき決め方で決定している。
4人の政治家のうち、少なくとも枝野経産相、細野環境相兼原発事故担当相は、福島第一原発事故の当事者というべきである。
福島第一原発事故の検証が終わらない段階で、このような立場に携わること自体が不見識というべきであろう。
⇒2012年4月 4日 (水):「大飯原発再稼働」の政治判断?/原発事故の真相(24)
⇒2012年4月 6日 (金):大飯原発再稼働というリトマス試験紙/花づな列島復興のためのメモ(48)
第二に、地震や津波が起きても全電源が失われない対策や、炉心などの冷却機能を維持する対策について、関電の安全対策が、「基準をおおむね満たしている」としていることについてである。
これは、関電の実施した対策をもとに基準を決めたともいわれており、本末転倒である。
しかも、「おおむね満たしている」という一種の「東大話法」で、表現している。
⇒2012年3月29日 (木):2号機内部の内視鏡映像/原発事故の真相(23)
第三に、中長期対策である。
関電がこの日提出した「工程表」を盛り込んだ実施計画について、「事業者が安全確保に必要な措置を不断に実施する姿勢が明確だ」と評価した。
http://www.asahi.com/politics/update/0409/TKY201204090546.html
しかし、これは最低限の当たり前の条件である。
問題は、計画の実行をどう担保するかであり、計画が完了してから評価するべきことではないか。
計画されているから安全だ、というのは倒錯した論理である。
外交問題では、鳩山元首相が、与野党一致しての反対を押し切って、イラン大統領と会談した。
藤村修官房長官は9日午前の記者会見で、民主党の鳩山由紀夫元首相がイランを訪れ、アハマディネジャド大統領と会談したことについて、「個人の立場でも、こういう時期に訪問をされない方がいい」と述べ、不快感を示した。
イランの国営テレビが、鳩山氏が会談の中で、国際原子力機関(IAEA)は不公平だと述べたと報じたことに関しては、「わが国としては、核問題解決に向けたIAEAの役割を重視している。イランに対し、IAEAへの完全な協力を求めている」と指摘した。
公明党の漆原良夫国対委員長もイラン側の報道を取り上げ、「元首相、しかも民主党の外交担当の最高顧問という立場だから、日本政府として間違ったメッセージを与えかねない」と鳩山氏を批判した。国会内で記者団の質問に答えた。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012040900341
鳩山氏といえば、普天間基地移転問題を混迷させた張本人である。
その鳩山氏を民主党は、外交担当の最高顧問とした。
いくら藤村官房長官が不快感を示しても、所詮自分たちが決めた人である。
天に唾しても自分に降りかかるだけである。
鳩山氏と同時に、菅前首相も、新エネルギー担当の最高顧問になった。
私には、これらの処遇は“適材適所”のブラックジョークにしか思えない。
“最高”顧問などという肩書は、普通の感覚を持った人間なら、恥ずかしくて使えない。政治家とは不思議な種族である。
“適材適所”といえば、田中直紀防衛相を抜きにしては失礼だろう。
北朝鮮からミサイルが発射されようという緊迫したこの時期に、数々の失言・迷言を繰り返している。
野田首相は、「無知の知」と庇うが、文脈が違う。
藤村官房長官も、時宜に無神経な発言である。
⇒2012年4月 6日 (金):大飯原発再稼働というリトマス試験紙/花づな列島復興のためのメモ(48)
野田政権は、消費税増税と大飯原発再稼働に突き進んでいる。
このような政権の姿を、田中秀征氏は、徳川最後の将軍に見立てている。
大連立は幕末の公武合体論のようなもの。万が一実現してもすぐ崩壊するし、第3勢力の討幕派の勢いを強めるだけである。
結局、今の民主党政権、特に野田政権は幕末の徳川慶喜政権に擬せられる。既得権益の根幹を維持するために、表面的な改革を装っている印象だ。
しかし、留意すべきはほとんどの人たちが、それを既に見抜いていることだ。
http://diamond.jp/articles/print/16827
野田首相は、果たして“悲願”が成就するのを見届けることができるだろうか?
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